藍の贖宥符

OOTSUKA

第1話

 高校1年の秋。母親の浮気で離婚して数日たったある日。

 学校から帰宅したら家の前に近所のおばさんが立っていた。

(何でウチの前に居るんだ?)

 そんな事を思いながら玄関へと近付いた。向こうがコッチを見付けたと同時に駆け寄ると焦った様子で。

[あなたのお父さんが部屋で死んでたらしい!]

[はい?]

 あまりにも突然の事で理解が出来なかった。

[今、救急車で病院に搬送されたんだけど・・・]

[・・・・・]

[・・・・もし、心細かったら病院からお祖母ちゃんが帰るまでの間、ウチに居ても良いよ?]

[ありがとうございます。でも、大丈夫です・・・]

 そう言いって、自分の部屋へと向かい鞄等を机にぶん投げ、どうすれば良いか分からず布団に潜り丸くなった。気が付いたら寝てたらしく、夢だと自分に言い聞かせた。取り合えず水でも飲んで落ち着こうと思い、台所へ行く途中に病院から帰ってたお祖母ちゃんが無理に笑いながら。

[しゅうちゃん、お帰り]

[あぁ、ただいま]

 直後に父の死体が目に入り、現実を突き付けられた。訳も分からず家を飛び出して寒空の中走った。走り疲れた頃、小さな公園が目に入ったので街灯の下のベンチに腰掛けた。しばらく、思い悩んでると青年が近寄って。

[君、こんな所でなにしてるの?]

[目障りなら、今すぐ何処かに行きますね!]

 独りにさせてくれ!と心で叫びながら。

[まぁ、そう言うなよ。君、ブラック?微糖?]

 歯に衣着せぬ勢いでそう言って、トイレの近くの自販機の前に立った。

[・・・・ブラック]

 とっさに答えてしまった。

[まぁ、何があったか知らんが、人に話すだけで大分気が楽になるからさ]

 暖かいコーヒー手渡しし、ベンチの横に座ってきた。

[まぁ、話して俺にデメリットは無いですしね]

 半信半疑のまま、そう呟いて、一部始終を話した。

[成る程ねぇ~。それは大変だったね]

[でも、お陰でほんの少し気分が軽くなりました]

[まぁ、少しはマシなったなら良かったよ。一応、これが電話番号だからまた何かあったら言ってね]

[・・・・何で見ず知らずの俺なんかに優しくするんです?]

[俺でも良く分からん(笑) 何かほっとけなかったからかな?]

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