第p章 ―― 1.41

旭原高校 (ii) ――― 3 - D = 41

 三郎丸さぶろうまるたまきは、自身が委員長を務めるこのクラスを秘かに「奇跡の3-D」と称していた。

 明るい生徒が多く、基本的にみんなほどほどにまじめ。何人か人づきあいの苦手な生徒もいるが、露骨に輪から外されたりからかわれたりといったこともなく、全員、適度な距離感と良好な雰囲気をたもっている。

 担任の先生も穏やかで、一度も厳しく注意をしたことがない。にもかかわらず、多少やんちゃな男子グループや我の強い数人の女子たちも、先生にはそれなりにすなおだ。今まで、小学1年生のときを除いてこんなクラスはなかった。


 小学2年生以降、大小なんらかの問題をどのクラスでも抱えた。

 いじめだったり、グループ同士の対立だったり、不登校だったり、停学だったり、学級崩壊だったり、逆に威圧的な先生に萎縮したり。

 小中高の12年間のうち、10年間がそうだった。小学1年生は例外なんだと思った。小学校に上がったばかりでみんな純粋だったからこそ成立した特別な期間。ゲームの初回ボーナスみたいなものだ。

 何十人もが狭い教室で1年間、毎日のようにすごすのだ。なんの問題も起こらないほうがどうかしている。そう理解してきた。

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