プロローグ (iii)

「まさか近所でこんな事件が起きるなんてねえ。すごく怖いです。下の子が小さいんで、解決するまで車で送り迎えします」



「サッカーが得意な子で、小学生のころからずっと続けてました。あと、小さいときは『トムとジェリー』が好きでしたね」

一八かずやさんが戻ってきたとき、まず、どうしてあげたいですか?」

「あの子が帰ってきたら、また……家族4人でDVDを……いっしょに……………見……、う、ううっ……すみません……」



「お姉ちゃんとケンカしてて、いなくなればいいのに、って思って、そしたらほんとに……」

「お姉ちゃんとケンカしちゃったんだ」

「参観日にアリコットす……つの話をしたから……」

「お姉ちゃんが小学校に来てくれたの? アプリコットの話がケンカの原因?」

「んー……」



「まじめそうな印象でしたよ。ごみ出しなんかで顔をあわせたら、ちゃんとあいさつをされるかたでしたし。ニュースで高校の先生って聞いて、ああ、だからしっかりしてらっしゃったんだなー、って」



「常識では説明のつかない今回の事件。さまざまな説が浮上しているが、なかには超常現象説も。恵比寿に事務所を構えるある占い師は、妖怪の類が原因と主張する――」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る