プロローグ (vii)
「――記者は占い師の主張にはやや疑問を感じたが、なかにはわらにもすがる思いで相談を寄せる保護者もあるそうだ。同氏はおととし、高額な相談料に対して訴えを起こされており、現在、高裁で係争中。今回の大規模失踪事件が長期化すれば、不安につけ込んだ悪徳商法の広がりも危惧される」
「この『ミレニアム懸賞問題』、なんと100万ドル、日本円にしておよそ1億3100万円の賞金がかけられているんです」「ええ~っ!」「1億3000万!」
「問題は全部で7つあり、このうちのふたつ、『ポアンカレ予想』がロシアの数学者・ペレルマンに、『ナビエ・ストークス方程式』がハーバード大学の枡田教授によって解決済みですが、残り5つは現在も未解決となっています」
「10年前でしたっけ。日本人が解いた難問って話題になったやつ」
「はい、そのとおり。『フェルマーの最終定理』の解決に貢献した『谷山・志村予想』を超える快挙と報じられましたね。さて、このミレニアム懸賞問題。ひとつでも解ければ1億3100万円」
「全部解いたら6億5500万円だ」
「さすが数学芸人、計算がお速い」
「全部解ける才能があったら6億の賞金は安すぎだよ」
「番組がわも全問とは申しません。1問でも解いていただけばじゅうぶんですので」
「数学史に名が残る難題なのにさらっと言ってくれますね」
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