看破 (xxxi)

『何か根本的に別のやり方が必要だ 例えに出すのもシャクだけど数学のうまい解き方みたいな』

『適切な解法を当てはめれば素早く解けるけど、最適でない方法だと遠回りになったり、最悪解けなかったりするような?』

『そう それ はそういうのをどっかに仕込んでいる』

『断言するんだ』

『あいつのやりそうな事だよ』

『どうやってその最適な解法を見つければいい?』

『三人寄れば文殊の知恵』

『皆と相談するって事?』

『そう 三郎丸さんはもっとみんなを頼るべきじゃね?指示出しする以外にも』

『うん・・・そうね』

『あんま言いたくねえけどちょいマズイ方法だと思うし…』


 環はどきりとする。まさか午角くん……。


 続いて表示されるメッセージで疑念が確信に変わる。


『このゲームってさ 


 ふっと環は力を見た。気の進まなそうな顔で彼は環を見ている。お互い気まずさから視線をそらした。


『うまかど君、もしかして気が付いてた・・・?』

『まあ』『何で誰もその事疑問に思わねえのか不思議なんだけど』『気付いてるヤツは空気読んで黙ってんのかなって』


 環は、少し赤くなった顔を力やほかの級友に見られまいと、教室に背を向け黒板に面した。


 ――バレていた。

 ほかの生徒に黙って秘かに弄していた策が見透かされていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る