第26話2-4.夜のホテルは夜景とかキレイ
―――その日の夜。
少し困りつつ僕は割れた鏡をみる、そこには美人コンテストを優勝した貝沼まどかがいる。髪の色もカツラで変えて、第2高校の女生徒の制服は校章を外しておいた。あ~スカートってやだな。
鏡を見つつ、あ~、ため息しか出ないのだが、変装するしかない。
これしか思いつかないのだ。
さっきタイガーに夕飯を誘われたが用事があると断った。
そして僕はこれからとある大きなホテルまでいかなければならない。
魔装鎧を
学園敷地外での魔装鎧や強力な魔力の使用は禁止だし、バレれば警察に捕まりかねないが急がなければならない。まあ僕は霊眼を発動すれば大抵の魔力監視網は素通りできる。公共交通機関はバカ高くて使えないのでこれしかない。
問題はホテルに入る服装だ、僕は身体に合う私服は黒と黄色のジャージ、つまりタイガーセンセからもらったもの、と第6高校の制服しかない。これは由々しき問題だ。
できればそのホテルに僕が行った痕跡は、交渉が上手く行こうが失敗しようが残したくない。そして相手に極力迷惑はかけられない。そして仕方なく変装をつまり女装することにした。入りさえすればテレポートで逃げれるし。
仕方ない、仕方ない、仕方ない。
本当にいやなのだが。
美人コンテストに出た時の女装の格好で外出するなんて。
まあその上、いま着装しているフィーネの鎧も女性用だ。
違うんだ・・・これしかすぐ着れる魔装鎧がないのだ。女装なんて大嫌いだがもう一つの鎧の方が色々まずい。
かなりのスピードで僕は疾走する。音もなく一般人には見えない。緑川の“風生風滅”よりも強力な抗術で身を隠しているのだ。
黒い猪は今晩にも退場してしまう。そうすると僕の後見人は一時不在になるのだ。腹黒い猪とは僕のメイドがつけた僕こと第一竜王子の後見人“矢富澤(やとみざわ)”のあだ名だ。証拠はそろっている、僕と矢富澤が最後に会ったのは去年の夏だ。細工は問題ない、倒すべき敵をすでに、そしてやっと一人片付けたと言っていいだろう。
すぐに矢富澤は逮捕されるだろう、急がなければならない、現職の県議長の逮捕はニュースになるだろう。
また西園寺グループ関連のだれかが新しい僕の後見人になっては元の
市街地に入ってからはビルの屋上から屋上を飛び回る。魔力監視網を視覚化して慎重に行く。監視カメラにも注意が必要だ。僕は目標のオニツカインターナショナルホテルから250mほど離れた裏路地に降りつつ魔装鎧を解く。
(よし、監視カメラも魔力監視システムもすべて避けた)
さていよいよホテルに入る。いくつかパーティーもしているし、入るのは問題ないはず。
貝沼まどかの着ている第2高校の女子用のブレザーはこのホテルでも遜色ないだろう。
もともと裕福な家の人間が第2高校に入学するわけでこのブレザーはなかなか派手だと思う。
(どうどうとしていれば問題ない、どこへ行くと言われれば今晩のこのホテルで行われるパーティーや会合の名前はすべて頭に入っている)
緊張する、正面玄関はでかくで派手で・・・圧倒されるな。
数台タクシーが止まっている。
ややギクシャクと僕かスタッフに会釈すると、でっかい金色の縁取りのドアをスタッフの一人が開けてくれた。
あの金色のドア売ったらいくらくらいになるんだろう。全財産1050円しかないのだ僕は。
場違いだよな。ドアの取っ手だけでいいから一つくれないかな。
ホテルに入ったところ、エントランスというのか・・・とても広いな。
床は白と黒の大理石のようなものが敷き詰められている。エントランス中央には特異な形のモニュメントが立っている。
僕は貝沼まどかの格好だ。どこかで着替えなくては。
霊眼で遠隔視して再確認する。彼女は37階のエグゼクティブルームにいるはず。隔週で土曜の夜はここに来てパーティしているのはチェック済だ。
旦那の鬼塚氏は数年前に亡くなっており彼女が現在のこのホテルのオーナーだ。彼女は世界中に点在するオニツカインターナショナルホテルのオーナーというだけではない。旧オニツカスポーツ、現在はQMというスポーツ用品のブランドも手掛け召喚士用のバトルスーツの大手でもある。企業売り上げは年間1.7兆円のオニツカグループの代表取締役社長の鬼塚紅亜(おにつかくれあ)さんに会いに来たのだ。ちなみに西園寺グループは20兆円どころか調べたところ73.9兆円らしい。
竜王家の後見人になるにはある程度名家でなくてはならない・・・そしてそれなりにお金持ちでなくてはならない。僕はこれから西園寺の連中と揉める可能性が高い、それなりに力を持っている人物でなくては困るのだ。
37階のそのエリアはエレベーターでしか行き来できない。従業員用の階段はあるがセキュリティーは厳しそうだ。魔力監視システムのレベルも非常に高い。
どうするか。鬼塚紅亜さんにもちろんアポイントはとっていない。そもそも今、このホテルに紅亜さんがいること自体ヒミツのようで公になっていない。
いやそれどころか鬼塚紅亜さんは代表取締役になってから公に姿を見せること自体ほぼないと言っていい。
・・・オニツカグループのシークレットパーティに乱入することになる。
テレポートで37階の結界に飛び込めないことはないが、すぐ通報されるだろう。魔力監視システムを破るのは難しい。
それに後見人を非公式にお願いしに伺うのだ、不遜な行動は慎むべきだろう。
注意深く僕は37階エグゼクティブルーム周辺を、ホテル全体を、ロビーを遠隔視で観察する。
数十人の行動を一度に把握するのはなかなか困難だ。
・・・これしかないか。一つ案を思いついた。
僕は迷わず歩く・・・
彼が37階用のVIPカードを持っているのは遠隔視で確認済みだ、VIPカードがないと37階にエレベーターは止まらない。恰幅のいい男性はオニツカグループの重役だろう。ロビーにいる間なら魔力監視網から隠れつつ、彼の視界から僕を霊眼でしばらく隠せる。
エレベーターの中で恰幅のよい男性の真横に立ち一緒に37階へ上がっていく、彼には霊眼の影響でしばらくの間は僕は見えなくなっている。
37階でエレベーターが音も無く開く。
そこはもうエグゼクティブルームの入口だ。
「いらっしゃいませ」
姿勢のいい黒いスーツのスタッフに頭を下げられる。
意を決してタイミングを合わせ僕は恰幅のいい男性と全く同時にスタッフに会釈する。
(よかった、この男性の関係者か何かかと思われただろう)
あぁ緊張した~。
エグゼクティブルームに問題なく潜入した。
・・・内装はとても上品だ。照明も明るくない。
おいしそうな料理がテーブルに所狭しと並んでいる。こういうの立食パーティというんだろうか。
あぁ食べてみたいな、しかしそんな暇はもちろんない。
一瞬見える外の景色はすばらしい。角度が計算されているのかビルの上を飛び回っている時は気づかなかったが・・・非常に綺麗な夜景だ・・・夜の海の神殿を思い出す・・・ん?なんだっけ神殿って?
この貝沼まどかの格好のまま後見人をお願いするのは不遜だろう、着替えないと。
なるべく僕は人のいないのを見計らいプライベートルームを探して入り込みさっさとカツラを取って着替える。
予想通り魔力監視システムはプライベートルーム内では切られている。プライバシーの侵害になるからだ。影の中から第6高校の制服を取り出して着替える。
・・・さあ正念場だ。
事前に距離も場所も分かっている・・・僕は迷わずエグゼクティブルームの奥へ行く。ここだけ結界の強さが異常だ。間違いなく紅亜さんはこの結界の中だろう。
ちなみにネットで調べても紅亜さんの写真はまず出てこない。これは魔法での超遠距離攻撃、呪いの類も含めて暗殺を警戒しての事だろう。つまり非常に用心深いのだ。ほとんどの社員が紅亜さんの顔すら知らないという。この用心深さは僕と通じるものがある、僕の父王は公には心不全だが暗殺されており僕自身も3回も暗殺未遂にあっているのだ。
エグゼクティブルームの奥にもう一室ある、多分VIPルームだろう。高校のブレザーを着ている僕は本来目立つだろうが照明が暗いせいか、なるべく人の視界を避けているのもあるが全く邪魔は入らない。
VIPルームからちょうどボーイが空いたグラスを持って出てくる。集中する・・・ここだ!
僕は全く魔力を漏らすことなくボーイの視界を避けつつドアが閉まる前にVIPルームにたどり着いた。かなりのスピードだったが物音ひとつ立てなかったはずだ。
ああ、まじで緊張する。
VIPルームはそれほど広くなく数人いるのが感知できる。
そしてVIPルームは先ほどのエグゼクティブルームより一段暗い。
また、さらに別世界のようだ。窓はない。
壁紙は非常に暗い青が基調のようだ。
長椅子がテーブルを囲むようにおかれており数名の男女がいる。
緊張はピークだが、ここまで来たら覚悟を決めよう。
数歩進んであることに気付く。女性は全員、黒いヴェールで顔を隠しているのだ。男性は仮面を着けている。そして女性は黒いドレス、男性も黒いスーツと黒いネクタイだ、喪服かと思うほどだ。男性2人、女性4人だ。
いやひょっとして全員喪服か。紅亜さんは未亡人ということになるし。
そして妙だ、全く異物である僕に誰も全く関心を示さない。
全く音のない静かな世界だ。こういう世界観が好みなのだろうか。
身体を立てて椅子に座っているのは2人だけ。残りは長椅子で寝ている。
僕は長身の男性に膝枕されている横になっている女性にそっと近づく。
慎重に小声でこの静かで薄暗い世界を壊さないように配慮して聞いてみた。
「あの、お休みのところ申しわけありません。わけあって鬼塚紅亜さんに会いに来たのです」
その女性は身体を起こさないまま一番奥の女性を指さした。
「ありがとうございます」
難航しそうだな・・・そう思うものの僕は一礼して奥へ進んだ。
身体を立てて座っているもう一人だ。他の人も全員ほとんど動いていない。
指さされた人物は、非常にふくよかで大きな体格の女性だ。顔もビックリするくらい大きい。ギョロっと僕の顔を見つめている。
「あの失礼します、あの・・・」
「なんですか?どこから迷いみましたか?ぼうや」
この静かな雰囲気に飲み込まれそうになる。
でも、もう警備には通報されている可能性がある、
「私は神明・半月・全といいます。神明家の長男になります、・・・実はお願いがあってまいりました」
「・・・竜王家の嫡男ですか」
頷きつつ僕は続ける。
「竜王位継承権は恐らく数日後に1位になるでしょうから名実ともに嫡男という呼び方で問題ないかと思います」
ギョロっとした目にどれほどの感情も読み取れない・・・できるなこの人。
「あなたはここでは望まれない客です。
「もちろんです。無礼なのは私の方ですから。・・・単刀直入に申しますと鬼塚紅亜さまに私の後見人になっていただきたいのです」
進むしかないのだ・・・
「・・・これは異なことを。後見人とおっしゃいましたか」非常に大きい身体だが丁寧に話す人だ。
「はい、私の現在の後見人は数日以内に失脚します」
ある程度の情報は話すしかない・・・。
「・・・事実であれば次の竜王子後見人を選択するのは自衛省の管轄でありましょうが・・・なるほど任意後見人というのもありましたね。・・・なぜですか」なぜ・・・これはとても重い質問だ。僕と関わり不幸になる可能性は低くないのだ、それ故に僕はすべてをかける必要があるか・・・。
「私自身が所有権限を持っている次元環のいくつかと、また竜王家に伝わるいくつかのオーパーツは扱いを誤ると危険です。利益のみを追い求めるのは誤りです。扱えない遺物は封印すべきです。紅亜さまは竜王家関連の考古学にもお詳しい、いくつかパブリッシュされているPaperを読みました、発掘された第二王朝の遺物をいくつか所有されていると聞きました」
相変わらずこの人の感情は読み取れない・・・相当に訓練されている?
「その第二王朝の遺物に興味がおありで?」
「いえ、まったく興味ございません。ただ紅亜さまの研究はとても理知的で共感が持てます。いくつかではなく紅亜さまが発表されたPaperはすべて読みました。その上で利益ではなく知識的欲求を優先されるかただと思いました。有意差がないということを証明するのは利益を生みません、スポンサーもつきません。まあ紅亜さまにスポンサーは必要ないでしょうが、私には必要です。高校卒業するまでで良いのです。10ヵ月ほど後見人をお願いできませんでしょうか。代わりと言ってはなんですが、わたしの持つ次元環の調査・探査をぜひ紅亜さまにお願いしたいのです・・・原始の船の謎を是非解明していただきたい」
勝負に出る・・・“原始の船”は切り札・・・最初に切るカードとしては・・・間違いかもしれない。
「・・・原始の船といいましたか、確かにそれは魅力的な響きです」紅亜さんは空間転移のさらに上、次元跳躍の論文を書いている。原始の船は神話ではすべての次元を行き来するのだ。
「ほぼ船の位置は特定できております」
「・・・本当ですか。あらゆる次元に存在すると言う神話の中の船ですよ、実在すればどれほどのインパクトになりますでしょうか・・・しかし現在、次元環はすべて西園寺グループが管理しております。西園寺から権限を奪うことになりますでしょう、たとえ便宜上あなたのものだとしても。・・・それとは別に後見人はやはりお受け出来かねます。我々には接点がございません」やっぱり厳しいか。
すべて賭けてどうにかなるのだろうか。ただやるしかない。
「私は左肩に死の呪詛があります。これを埋めたのは西園寺御美奈とその取り巻き数名です。そのうち一人、現在の後見人である矢富澤は今晩、奴隷売買の罪で逮捕されたはずです」僕は話し続けるしかないのだ「・・・この肩の呪詛は解呪不可能です、今のところ。恐らく私は年内の命。来年2月の竜王家の式典に私の名前が無いのです。現在私の権限である竜王家関連のすべては来年2月の式典において義弟の神明帝の名義に既に書き換えられています・・・紅亜さまが私の後見人になれば王位継承権の争いに巻き込まれる可能性は十分ありますが・・・たとえ私が負けても死んでも原始の船は差し上げます。もし後見人を受けて下さらないのであれば原始の船は次元環ごと封印します・・・未来永劫、原始の船は神話の中をたゆたうでしょう」この体格のいい女性は目を閉じて喋らない。交渉はどうなるんだろ。桔梗と戦った時と同じだ、すべて賭けるしかない・・・シビアな戦いだ。
「あと原始の船が封印されている次元環は未発見状態です。西園寺グループは存在していることすら知りません」
目の前のふくよかな女性はしばらく沈黙している、非常に長い時間あるいは数秒か、そして勝負の兆し。
「・・・ではお願いなさい」
来たな。
「それは鬼塚紅亜さまにという意味でしょうか?」
体格のいい女性は軽くうなずく。ひょっとしてなんとかなるか、ならなければ不法侵入どころではすまないだろうけど・・これも戦い・・であればここは見せ場ではないのか。
緑アフロ隊長から聞いた闘いのイロハを思い出す。
突然、僕は体格のいい女性に背を向けてガラスのテーブルの上に飛び乗りフィギアスケートのように滑ってやったのだ、お酒やおツマミが飛び散るのは知ったことではない。
そして僕はそのまま滑りつつ跪いてテーブルの上で止まってやった。長身の男性に膝枕されている最初に話した女性の前だ。静かな世界の破壊者になったわけだ。
「無作法は承知の上、鬼塚紅亜さま、私の命をあなたにあずけたい」
彼女はゆるやかに起き上がりヴェール越しに僕をみた。最初に話した女性の前だ・・・。
いつの間にか他の5人は立っていて直立不動となった。
目の前の黒衣の彼女が合図をすると長身の男性以外は部屋の外へ退出した。
ヴェール越しにもわかる、黒衣の彼女は先ほどと別人のような雰囲気だ。
そう、この部屋で最初に僕が話しかけた女性・・・彼女が鬼塚紅亜さま・・・なのだ。
「後見人、お受けいたしましょう」
いやいやまだ跪いてるべきだ、ぬか喜びはダメだ。彼女はまだ喋るだろう、条件があるかもしれない。
「それにしても、あなた。ぅふふふふふ、ふふ、ぁはは」長身の男性は彼女を見て驚いている、彼女が笑うのは珍しいのか。ますます笑わない僕と似ているじゃないか
。そう・・・最初に挨拶した彼女こそが鬼塚グループの代表、鬼塚紅亜さまだ。5歳の時に一度会っているのだ、僕の目は記憶は誤魔化せない。
「ふっふふ。テーブルの上のものをなぎ倒して来なくても、ブランデー浴びてましたよ。あちらの席の人たち」
僕は黙して跪いて動かない、今度はこっちの番なのだ。
「あぁおもしろい。あなた、おもしろいわ。こんなに笑ったのは久方ぶりです」彼女はヴェールを外した。これも珍しいのだろう、長身の男性はまたさらに身振りでいっそう驚いている。長身の男性は仮面から見える部分はサイボーグのように顔色が悪い。
「あの顔をあげてくださる?テーブルの上で片膝つかないで、・・・うふふ。いつまでしてるんですか?」さらにダメ押しは何かないか。
「後見人を受けて下さるまでです。」
「受けます。受けると言っていますでしょう、殿下」チラッと見ると非常に美しい、いや気品そのものじゃないか。一つ思いつく、ダメ押しになるか。
「ではこうしましょう。6日後の六道記念公式戦で全国優勝したら後見人になってください。その程度の腕はあるとお見せいたします」
「難易度をご自分で上げる必要ないでしょう、といいますか、ぉっかしい。受けるっていってるのに・・ぁはは」彼女は口を押えて笑っている。まだ跪くべきだろう。
「そうとうな難易度だったはずです、ここまで来て私を動かすなんて。しかもどうやって魔力無しで入りましたか?わたくしの顔は知っていましたか?このヴェールで顔も見えないはずなのですけれど・・・こちらへどうぞ」
強引に引っ張られ横に座らされてしまった。
「強い目ですよ、クレアさまは目が違います」
「そう、目ね。目で分かったのね。信じないけど気を付けるわ」こんな少女のような表情をするのにクレアさまと喪服はなんか合わない気がした。
「さっきのお話しはすべて本当だとおもっていいのですね?殿下」
「はい、殿下は止めてください。クレアさま」
「・・・もし嘘があったらただではおきませんことよ」一瞬真面目な表情をしたがすぐ元にもどった。
「クレアさまの目の話しは少し追加があります。12年前に僕が5歳の時、クレアさまとはお会いしています。お顔はそのときに覚えました」そう、とてもクレアさんはキレイだったのだ、よく覚えている。数人の女性といっしょに何故か木の枝を持っていて・・・。
「よい記憶力ですこと、都内の護国館のパーティでしたか。取り壊されてしまって残念でした」
―――僕とクレアさんはしばらく話し合った。
後見人はなんとかなりそうな感じだ、まあダメならダメで仕方ないが。
そして学園までタクシーで送ると言われたが丁重にお断りした、なんとクレアさまと長身の男性はホテルの正面玄関から見送ってくれた・・・顔見せて大丈夫なのかクレアさまは。
なんか顔を隠してるとことか親近感わくんだけど。
魔装鎧を纏い、ビルの上を飛びながら僕はひとつマズかったなと思う、勢いで全国優勝するとか言わなきゃよかった・・・出なきゃいけないじゃないか。
―――そして6日後、電車で揺られて僕は六道記念大会を優勝した。
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