虹のちあられ

咲間 さな

第1話  みえるの?


声劇台本です!

ご自由にお使いください(*‘ω‘ *)



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♂:♀=2:2

♂:♀=2:3


【登場人物】


ニジカ(女16歳)・・・幽霊。ゆきの元飼い主。放火事件で亡くなる。


ユウト(男16歳)・・・高校生。優等生でナオと幼馴染。


コハル(女16歳)・・・高校生。ユウトを同じクラス。サッカー部マネージャー。


ナオ(男16歳)・・・高校生。ユウトの幼馴染。サッカー部キャプテン。


ゆき(犬)・・・家族を亡くした犬。ニジカの元ペット。


おばさん(女)・・・放火事件に詳しい知人のおばさん。



※ゆきの鳴き声ははニジカ役が担当。

※おばさんの声は2:2で演じる際コハルが掛け持ち。



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ニジカ「私が、みえるの・・?」


ユウト『それは、僕が人生のなかで一番避けたかった幽霊とのはなし。』



コハル【(タイトルコール)虹のちあられ】



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ナオ「ユウト!たのむ!お願いだよ!」


ユウト「やだよ、親にたのまれた用事が―」


ナオ「どうしても人が足りないんだよ!助っ人で!な?」


コハル「ユウト君、サッカー部マネとして私からもお願い!だめ…かな?」


ユウト「・・・。」


ナオ「頼む!この通り!」


ユウト『僕は、うちの高校のグラウンドが嫌いだ。なんせ、出るからな』


コハル「ユウト君!」


ユウト「わかったよ。その代わり終わったらすぐ帰るからな。」


ナオ「マジ?!サンキュー!恩に着る!」


コハル「ありがとう!」



ユウト『僕は小さいころから幽霊が見える体質のようで、そこかしこにはびこる幽霊がみえる。というか見えてしまう。』


記憶の男の子「ユウトクン、オカアサンニ僕ハココニイルヨって伝エテヨ」


記憶の男の子「サミシイヨ。コワいヨ。イカナイデ。」


ユウト「・・・っ」


ナオ「?どうしたユウト」


ユウト「何でもない」


ユウト『思い出したくもない記憶。昔みえてしまう幽霊と関わってしまったことがある。それ以来みないように気づかないように生きてきた。』



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ナオ「マジ助かった!ありがとな!」


コハル「ほんとにありがとう!さすがユウト君だね!」


ナオ「コハル!片づけ行こうぜ!」


コハル「あ、うん!それじゃあね、ユウト君また明日!」


ユウト「うん、また。」



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ユウト「たしかこの家だったはず」


おばさん「あら、もしかしてあなたが宮島さんの息子さん?」


ユウト「あ、はい。母の代理で例の犬を。遅くなってすみませんでした」


おばさん「ああ、いいのよいいのよ!さあ上がって!かわいそうにあの山本家放火事件で家族全員亡くなって。でもこの子だけ無事だったのよ。犯人はつかまったからいいけど、この子居場所がなくてね。うちで預かってたんだけど孫がアレルギーでね。それで―」


ユウト「母から聞きました。うちで飼うことになったって」


おばさん「そうそう!本当に助かるわ。ありがとう。ほら、この子がそのわんちゃん。ゆきちゃんよ。」


ユウト「っ!!」


おばさん「ん?どうかしたかい?」


ユウト「あ、いえ・・かわいいですね」


おばさん「そうだろうそうだろう。もらってもらうのになんだかさみしいよ。大事にしてやってくれ」


ユウト「はい。」


おばさん「そういえば、この子の飼い主、あんたと同い年くらいの女の子だったよ。ゆきちゃんとってもかわいがってもらってたようだからね。」


ユウト「・・・・そうですか。」


おばさん「とにかく、来てくれてありがとうね、よろしく。」


ユウト「はい、失礼します。」



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犬「わん!わんわん!」


ユウト「・・・・。」


犬「くぅーん」


ニジカ「新しい飼い主さんだね。」


ユウト「・・・・。」


犬「わん!!」


ニジカ「大切にしてもらうんだよ、ゆき」


ユウト「大切にするよ。」


ニジカ「・・・・えっ。」


ユウト「っ!!・・・しまっ—」


ニジカ「ねえ。」


ユウト「・・・・。」


ニジカ「ねえ!」


ユウト「・・・・。」


ニジカ「私が、みえるの・・?」


ユウト「・・っ。はあ。」


ニジカ「うそ・・どうして。だって私は・・死んで」


ユウト「君、なんでいるの?」


ニジカ「なんで、どうして・・えっ?」


ユウト「質問に答えてくれる?」


ニジカ「え、あ、はい!私はニジカ!えっと・・・ユキのことが心配で」


ユウト「心配?」


ニジカ「それよりもどうしてみえるの?!」


ユウト「僕がそういう体質だからだよ」


ニジカ「ええ!すごーい!」


ユウト「別にすごくないよ。うんざりしているところだしね」


ニジカ「え、どうして。」


ユウト「君、さっきからきいてばっかりだね。山本さんだっけ。僕は君とかかわりたくない。僕はこれからユキの世話をする。責任をもって大切にする。もう心配はないだろ」


ニジカ「・・私もそのはずだった。新しい飼い主がみつかって成仏するはずだった。だったんだけど、その、できなくて。」


ユウト「できない?じゃあせめてユキのそばから離れてくれないか?」


ニジカ「それも・・できないよ。だってユキから離れたら消えちゃう」


ユウト「はあ。じゃあどうにかしてほしいんだけど。もうかかわらなくても済むように」


ニジカ「・・・どうしてそんなに拒絶するの?たしかに女の子が家にいるのは落ち着かないと思うけど、でもなにもしないよ私!だから—」


ユウト「違うんだ。僕は幽霊にいい思い出がない。結局君たちにとって僕はこの世とあの世の架け橋でしかない。利用されて終わる。」


ニジカ「私は!そんな人間じゃない!」


ユウト「君はもう死んでる」


ニジカ「っ!・・・・そうだね。ごめん」




ユウト『そうして彼女は消えた。ユキもはじめての環境にか元気がないみたいだった』




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コハル「ユウト君、元気ないみたいだね。大丈夫?」


ユウト「うん、ちょっとね」


ナオ「なーんだユウト。しけてんなあ。お!そのロック画面!」


コハル「ほんとだ!わんちゃん!かわいい~!」


ユウト「ああ、最近飼い始めて。昔、隣町で放火事件があっただろ?」


コハル「う~ん確かそんな話ニュースでやってたような」


ナオ「それがどうかしたのか?」


ユウト「その事件、家族全員なくなったんだけど、この犬だけ助かったんだ」


コハル「なるほど、それでユウト君の家で」


ナオ「なんか暗い話だなあ。でもこいつかわいいなあ!」


コハル「ほんとに!ね!今度ユウト君の家遊びに行っていい?」


ナオ「お!いいなそれ!」


ユウト「今度な」


コハル・ナオ「やったあ!!」




おばさん「ニジカは元気かね・・・。」



ユウト『彼女、山本ニジカがいなくなってせいせいするはずだった。でも、彼女に言い放ったこと。まだモヤモヤはなくならない。僕の心はまだ曇り』



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虹のちあられ 咲間 さな @sasakimana

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