異世界の巫女は命がけの戦闘職だが、この世界ではバイト巫女

八薙玉造

プロローグ

「神社で粗相そそうした人がどうなるか、当然知っていますよね?」

 その巫女さんは、自分よりもずっと大柄な男の人をうつ伏せの形に組み敷きながら言った。さらに男の人の腕をちょっと曲がってはいけない方向にひねり上げている。

 こじんまりとした神社の境内。

 その真ん中で繰り広げられている光景を、あたしはただただ眺めていることしかできない。

「し、知りません! た、助けいだだだだっ!」

 男の人が悲鳴を上げる。ちょっと涙目にもなってる。

「知らないんですか? えっと……これから四肢をへし折ります」

「折りっ!?」

「その後、生きたまま皮を剥ぐか、逆さ吊りにしてお尻から皮を剥ぐか。そのふたつがポピュラーですね」

「ポピュ……えっ!?」

「選んでいいので、折ってるうちに考えておいてくださいね」

「選びたくない! 助けて!」

「どうしてです? これって、けっこう一般的だと思うんですけど……」

「ぜんぜん一般的じゃないでしょ!」

 ついにあたしはつっこんだ。

 あたしと同じく巫女装束を着た、その巫女さんに。

 

 思い返せば最初からおかしかった。

 あの子が忽然とこの神社に姿を現した瞬間から。


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