花はどこへ行った

小川貴央

第1話 自分との闘い

猛烈な寒波で地吹雪が吹き荒れる極寒の田舎道

独り凍えながら歩いている

俺は今何をしているのだろう

そして何をしてきたのだろう

これから何処へ行こうとしているのだろう

思えばいつも自分ともう一人の自分が対峙し

苦闘してきた


学生の頃、虐め、失恋、就職、社会に出て、

失敗に次ぐ失敗だらけ

誰からも認めてもらうこともなく

自信の喪失、プライドの失墜、争いの連続

思えばトラブルの連続

何をやっても上手く行かない

娑婆では色々な修羅場を見てきた

泥沼も味わい、抜け出し、また繰り返し


だけど一貫して信条があった

曲がったことが嫌いだった

弱い者を虐める者を憎んだ

人一倍正義感は強かった

理不尽な威圧には断固闘ってきた


周りは言った、

「よく言った」「よくやった」

でもいざとなれば有利な方へとなびき

そっぽを向かれた

孤立、村八分、差別、不当な扱い、白い目

未遂も二度経験した

あの時、絶えていたら良かったのに

なんて時々回想する


恋愛なんて言えるものは”おままごと”程度

いつも利用され、天秤にかけられ、裏切られ

お人好しが仇となり騙され、離れて行った

プラトニックだった

今の時代に考えられないかもしれない

心の結びつきこそ一番大切なことだと

でもそれに共鳴する女性は居なかった


いつも泣いてばかり

それでも自分に言い聞かせた

女を泣かす奴より、泣かされる男でいい

本気でそう思ってきた



いつか春は巡ってくるかもしれない

そう思いながら

たとえ望みの薄い 淡い夢であろうと

そんな些かの期待も不思議にもどこか

心の片隅にはあった

こんな俺にも

こんな俺でも







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