だって待ちきれない

飛鳥 未知琉

第1話 「待つことは出来ぬ」




ここはとある世界。


普通の人間が暮らすのとは違った世界だ。


とは言っても、変わったところなんてほとんどない。

強いて言うなら、この世界では我慢が出来ないということぐらいだろうか。

言い換えれば、「待つことが出来ない世界」とも言えよう。


これでは少し分かりにくいので、例を挙げてみよう。


この世界にも現世同様に人間が存在する。

しかし彼らは待つことが出来ない。

飯を食う時も出来上がるまで待てずに、火の通っていない生肉を食い腹を壊す。


まあ、アホだ。


例えば、風呂に入る時。

彼らはやはり待つことなど出来ない。

従って、他人が入っている時に風呂に入って大揉めになる。


どうしようもないアホだ。


そして、待つといえば公衆トイレだ。

彼らはそれでも待つことは出来ない。

人がいっぱいのときは容赦なくトイレの外で立ちションして行く。


完全にサルだ。


この世界で我慢が出来ない原因は誰も知らない。


なんでかって?






そりゃ、この世界の人、そんなの解明されるの待ってられない人種なんだもん。

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