エバーワールド
阿羅堂師 あらどうし
頃丸里
プロローグ
私は、
始めた頃は、刺激的な毎日でとても楽しかった。
だが、回数を重ねれば重なるほど一つごとの記憶が薄れて行く。
私はこの仕事で、きっと新たな発見をすることができるだろうと期待していた。満足感はもうないに等しい。
わたしはこの空腹感に耐えきれず、自ら宇宙へ旅立つことを志願した。
周囲の人は困惑し、一心に私へ考え直すことを求めてきた。
魅力のない言葉には耳を貸さず、自己の意思を通す私の行動が届いたのか、すぐに新たな発見を伝える情報が飛び交った。
志願先にもこの便りは届き、私の見慣れたこの場所から逃げ出す準備は整った。
見つかったのは、計算上、宇宙の中心部分とされる位置に存在する惑星だ。
わたしたちの住む星と同じように昼と夜に別れた星。水が存在し、大地には緑がある。
先に送られたカメラ機器からの映像は、決して目新しいものではなかった。だが、決定的に我々の興味を引くものが写されていた。
星に住む住人たちである。この住人たちは、見るに健康体であるのに人口が少ない。
いや少なすぎた。
カメラに写されたのは一国だけであったが、我々の歴史にもここまで人の少ない集落はなかった。
全員家族という繋がりでもない。
住人の身体的特徴は、当時のわたしを含め同じ船の仲間の意見は、
軽量化された無駄のないフォルムをしている。だ。
さて、我々と同じで二足歩行をするこの生物は我々の言葉を解することができた。彼らは、我々の統一語でメッセージが送られてきた。
「我、この輝きの国の王なり。機械仕掛けの目を所持する異なる星のものたちよ。我が高き山に囲まれし城へ見えよ。」
高き山に囲まれし城というのは、輝きの国の中心に位置した巨大なカルデラにある城の事を指した。
城といっても容易く想像した城とは全く形状が異なる。城は大木の中にあるのだ。
船は常に輝きの国の上空に浮いていた。船内で
「念願が叶うのは早かったですね。」
「気候の良く似た星であってよかった。専用スーツがいらない。」
と、喜びの言葉が飛び交った。
「謁見をするのですから、我々のなかでリーダーを決めませんか。」
9名のなか、わたしが一番名声があることから私が選ばれ、操縦を任された。全員の命を自身の両手に託し、船は大気圏に突入した。
激しい振動の中、奇妙な体の変化に気づいた。
瞬きをするほどの一瞬で、手から離れてはいけない機械が遠のいていた。
モニターで見ていた星の住人と同じ形に、それぞれ誰が誰かわかるように姿が変わっていた。
ただ変わっていないのは、背負った甲だけ。
「これは想定外だ」
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