第375話  話し合い2




おじさんに怒鳴られたイングマルはあわてて口に手を当てて黙った。








おじさんは「まったく・・・・」と言ってうなっていた。





皆それを見て仕切り直し、執事のジェームスが「当面の問題はやはり焼け出された者達をどうするかだろうな?いつまでも教会に置いておくわけにもいかんだろう?」と言った。






皆「さてどうしたものか・・・・?」と頭を抱えて黙ってしまった。






イングマルは口に手を当てたまま一同を見回していたがやがて「あ、あの~。」とオドオドと手をあげた。





すると先程のおじさんがにらみつけながら「なんだッ!?小僧の出る幕ではないと言ってるだろうがッ!」と再び怒鳴った。






イングマルはあわてて「すすす、すいません!黙るです!」と言って再び口に手を当てた。





騎士のひとりが「まあまあボッシュ殿、そう頭ごなしでは話が進まぬではないか?何か意見があるなら聞いて見ようではないか?」と言った。






ボッシュ殿は「ウ~ム、このような小僧の意見など聞くに値するとは思えんが・・・?



まあよい!小僧ッ!何か意見があるなら言うてみい!くだらん話なら承知せんぞ!」と言ってイングマルをにらみつけた。





イングマルは両手で唇を挟んでいたが指で口を開くと「プハー、それでは。



焼け出された人達で希望する人があればうちのギルドで桟橋と倉庫の番人として雇いたいんですが?」と言った。




皆「なんと!?本当かそれは?」と驚いて言った。






イングマルは「はい、当面の住まいは倉庫内でしてもらって追々人数にあわせて仮設住宅も作るつもりです。」と言った。





皆お互いに顔を見合わせてざわついていたがやがて騎士の一人は「イヤー名案じゃないか?住まいと仕事といっぺんに手に入るなら言うことはないだろう?」と言った。






皆もウンウンとうなずいて好評だったがボッシュ殿が「そんなもの!いつできるのだ?当てになるかッ!」と言って顔をしかめて首を振った。






イングマルは「桟橋と倉庫ならもう出来ています。」と言った。






皆驚いてボッシュ殿は「何だと!?ウソをつくなッ?!一日二日でそんなもの出来るわけないだろう?!」と怒鳴った。






イングマルは「いえ、桟橋自体は杭と梁の一部は無事だったのでそのまま使いましたので直すのは簡単でした。




倉庫も板張りですが雨風をしのぐのには充分かと。」と言った。





ボッシュ殿は渋い顔をしていたが何も言えずにいた。






執事のジェームスは「そなた?本当にそんなことが出来るのか?後でヤッパリ無理では困るぞ?」と言った。








イングマルは「桟橋にはいずれ管理人を置くつもりだったんですよ。




こんなに早く襲撃を受けるとは思いませんでした。


こんなことなら初めから人を置いときゃよかった。」と言った。






執事のジェームスは「エドモンド殿、早速だが急ぎ教会に戻って住民たちに聞いてはもらえまいか?」と言った。





修道士のエドモンドは「分かりました。希望者を募ってみましょう。」と言いその場を後にした。






イングマルは「僕も行きます。」と言って一緒にライオネル卿の屋敷を後にした。








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