第271話 偵察
岬に向かってしばらく行って男が見えなくなってからジョンはイングマルに向かって「おい!お前!何で船を探してるなんて言ったんだ?!バレたらどうするんだ?!」と言った。
イングマルは「いいんだよこれで。ヘタに嘘つくより正直に船を探していると言った方が自然なんだ。」と言った。
ジョンは「けどな~・・・・・」と文句を言ったがイングマルは続けて「知ってる?街に入った時から監視されてんの?見覚えのないやつはチェックされているみたいだね。」とすました顔して言った。
ジョンは驚いて「何だって?!ホンマか?」と言ってあわてて周りを見渡そうとしたがイングマルは「ダメ!ダメ!知らん顔して!」と言ってジョンを引っ張った。
一旦岬の上に登ると向こう側の入り江が一望できて船溜まりに数多くの船が見えた。
ジョンは船を眺めながら「何てこった?!あの船全部海賊に取られた船か?!」と言った。
イングマルは黙って船を見ながらやがて「あそこ。」と言って指差した。
ジョンはイングマルの指差した方をじっと見てみると同じ大きさの船が横並びにつながれている中にジョン達の船があった。
ジョンは「あれだ!あったぞ!特に損傷は見当たらないようだな。」と言い目を凝らして良くみていた。
イングマルは「近くで見てみよう。」と言って岬を降りていった。
船が停めてある桟橋付近には人影はなくガランとしていた。
しかし探していた船は何隻も横並びにつながれた中程にあり陸からはほとんど見えなかった。
前か後ろに引っ張り出さないといけない。
あまりこの場に居て怪しまれてはいけないので船を確認したらすぐ後にして一旦近くの宿に入った。
ジョンは「どうする?あの状態だと櫂船で引き出さないといけないぞ!」と言った。
イングマルは少し考えて「そうみたいだね。そうしよう!先手必勝!今晩夜中に決行するよ!」と言った。
ジョンは「な!なんやて?!今晩?!なんも準備してないぞ?」と驚いて聴いた。
イングマルは「僕が残って準備するのであ兄さんは急いで僕の船に戻って夜中に岬の沖に待機して。曳航用のロープを繋いでカヌーに乗せて二人で船に来て。」と言った。
ジョンは「よ、よし、わかった。一人で大丈夫か?」と聞いた。
イングマルは「沖まで来て暗いままだったら作戦続行、もしかがり火や松明の灯りが見えたら見つかったから作戦中止、すぐにそのまま離脱してエストブルグへ帰って。僕の事は待たなくていいからね。一人ならなんとでもできるから。」と言った。
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