第264話  追跡者再び





その日は船内で一夜を明かし翌日の昼前にジェームスが戻ってきた。




「おう、居たかね。ご苦労だがまたすぐに戻らなければならない。すぐに出発出きるか?」と言った。




イングマルは「いつでもいいですよ。」と言うとまた手際よく馬と馬車をのせてすぐ出発した。






沖に出ると海流の影響もあり来る時よりも早く移動できたが2時間もしないうちに追跡船が現れた 。



来る 時に遭遇したのと同じ船でどうやら待ち伏せしていたようだ。




「やっぱりきたか・・・・。」イングマルはつぶやくと再び完全武装になった。




ジェームスは「あれは?!奴らまた来た?!」と叫んだ。




「どうやら完全につけ狙われているようですねー。」とイングマルは海賊船を見ながらつぶやいた。



「どうするんだ?!このままじゃまたすぐ追い付かれるぞ!」とジェームスは早くもうろたえ始めた。




イングマルは「大丈夫、大丈夫。小回りはこっちの方が効きますから心配しなくていいですよ。船内で飯でも食べててください。」と言い聞かせた。




早々と海賊船が近づいてきて体当たりしようとしかけるがイングマルはすでに回避行動を取っており全く寄せ付けることはなかった。







夜になっても追跡は止まず、だが体当たりはしてこなかった。



イングマルは食事を作りながら悠長に海賊船を眺めながら飯を食べていた。



ジェームスは心配のあまり食事が喉を通らず、ろくに食べれなかった。



だが前回のように馬にしがみついて失神するというようなことはなく、意識はしっかりしていた。





翌朝日が昇りよく見えるようになってから海賊船は体当たりを仕掛けてきたが上手くかわし続けた。







しかし数時間後もう一隻別の海賊船が現れ協力して襲ってきた。






一隻をかわすとその進行方向を塞ごうとやってくる。



両船は息ぴったりで連携していて手慣れた感じであった。




イングマル は両船の間を縫うようにすり抜け数時間に渡って追いかけっこが続いた。







両船とも同じような ジーベック という高速船で各船には20人から30人のっているようだった。



いつでも突入できるように剣やロープを持ってこちらを伺っていた。








海賊船の ジーベックは舵手が甲板後方におり大きな舵取り棒を持っていた。





いい加減鬱陶しくなってきたのでイングマルは最も強力なクロスボウ取り出して矢を装填すると船をかわすと見せ掛けて海賊船の一隻の後方に回り込んでクロスボウの射程に捉えた。




海賊船の舵手と目があった。






次の瞬間イングマルはクロスボウを射った。





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