第151話  王都にて4







 目を覚ました男に話を聞くと「何がなんだか分からない」という。




運搬の仕事で10人ほど呼ばれ重い木箱を馬車に積んで館に運んで、その後帰りに襲われたという。



自分以外は全員殺されてしまい、やっと逃げてきたらしい。




運んだ木箱の中身は知らないという。


大きさの割に重い事しかわからない。



運んだ先の屋敷はわかるが、それが誰の屋敷とかその他の事は何もわからないという。






要するに何かヤバイものを運んで運んだ先がばれないように口封じされた、ということだろう。



こんな時フランシスがいればなんとかなるのにと思ったが、イングマルたちには今のところどうしようもない。






やはりフランシスに相談しようと王都に向かおうとしたが、男は怯えてしまって泣いてやめてくれという。



できるだけ王都から離れて逃がしてくれと言う。




イングマルは「絶対かくまってやるから、馬車からでなければ安全だから」と言い聞かせ「逆に王都に行く方が裏をかくことができるので見つかりにくいのだ。」といった。



イングマルは男を乗せて王都にもどり、男が木箱を運びだした所と運んだ先を調べて回った。




運び出した場所は王宮の裏口で、運んだ先の屋敷を近所のものに聞くとパール伯爵の館ということがわかった。




王都をうろうろしていると、広場の掲示板でニュースを見た。




フランシスが捕まった、というのだ。



みんなは驚いてどういうことかと掲示板を見ている人に聞いて回った。




軍資金を横領し人買い軍団と裏で取引した、というのである。



「処刑は間近だ」というのを聞いてローズはいてもたってもいられなくなって「収監先の監獄を襲撃して、フランシスを取り返す!」 とローズは息巻いた。




皆はなんとかローズをなだめて、フランシスの友人と言うジャンポールと言う人を探すことにした。




闇雲に動いても仕方がないので、王宮の門番やフランシスの収監先の監獄の門番に金を渡してジャンポールにこと付けを頼み「中央広場で待っている」と伝言してもらうことにした。




大金を掴ませたのが功を奏したのか、その日の夜にジャンポールは中央広場にやってきた。



お互い初対面だったが、話は聞いていたのですぐわかった。




ジャンは、フランシスから色んな話を聞いていたが、ジャンはイングマルが行った凄惨な殺戮現場を検証し目の当たりにしているので、心底彼を信用していいのか分からず少し警戒していた。



しかし今はフランシスのことが最優先、彼を救えるならどんな事でもするつもりだった。




早速話を聞くとフランシスが横領した、という証拠は何もない。



だがシンガリを務めていて生還したことが疑問視され、そのことで何の証拠も無いのに彼が犯人にされようとしているという。




フランシスの実家は早々に彼を見捨てて無関係を決め込み、彼の住まいのはなれも取り壊してしまった。










シンガリの彼を救出したのは、自分たちであることは証言できる。




ただ、「軍資金を横領したという事実はどのように発覚したのか?」とイングマルは聞くと、パール司令官が言い出したので調べてみたら軍資金がなくなっていたのだという。




イングマルはパールと言う名前を聞いて「パール伯爵のことか?!」と聞き返した。



ジャンは驚いて「そ、そうだ。」という。




イングマルはすべて納得した。




パール伯爵こそが、軍資金の横領の犯人であったのだと。






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