第150話  王都にて3







 パール伯は帰るとすぐニコラスを呼び出し、王宮での話をニコラスに伝えた。





ニコラスは驚いて思わず「なんですって?!」と言ってしまった。




フランシスのことをまだ調べ始めたとこなのに、そのような荒唐無稽な話を持ち出しても、裏づけ工作をする暇もないではないか?!





しかも、調べて見て分かったのはジャン・ポールもフランシスも開戦前には王都にはおらず、軍資金などに関われるはずもないのに、調べればすぐわかることなのに何と言うを浅はかなことを、あれほどあせらず待つように言っておいたのに。




しかし、もう言っても遅い。




ニコラスはなんとかフランシスが不正に関わったような痕跡が残せないものか調べるのでこれ以上敬虔な行動はしないようパール伯に釘を刺した。







王宮では側近たちが軍資金の流れを調べて回ったが、確かに3割ほど勘定が合わない。




だがフランシスが横領したという事実も根拠もない。





彼は開戦のだいぶ前から王都を離れておりほとんど関与する余地はないように思われた。




しかし軍資金の行方不明の事実がある以上、名前のあがったフランシスをそのままにしておけない。



フランシスは逮捕され、収監された。





すぐに厳しい取り調べが行われ、拷問も行われたが全く効果がない。


横領した金のありかを聞くが当然わからない。



すでに人買い軍団に渡ったのではないかと思われた。





ジャンはフランシスが収監されたことを聞いて激しく抗議を行い、彼の無実をはらそうと奔走していた。










イングマルたちはそんなことが起きていることなど全く知らず、フランシスから連絡がないのを不審に思ってはいたが、王都の外れをのんびり移動して名所見物していた。




フランシスと合流した後のことを考えていたら犬のトミーが何かを嗅ぎ付けたらしく、しきりに鼻を鳴らしている。




馬車を止めトミーについていくと、林の中の茂みで怪我をしている男がいた。



男は人足の姿でひどく怯え、刀傷で重傷であった。






イングマルを見て悲鳴をあげて逃げようとしたが、イングマルが子供なのを見て少し安心したようで、すると今度はイングマルにしがみついて「助けてくれ!」と泣いて懇願した。




とりあえず馬車に連れて行って手当てし、何日も食べていないのか出された食べ物を一瞬で食べてしまい、そのまま気を失うように眠ってしまった。





しばらくすると、馬に乗った武装した男たちが10人ほどやってきた。



イングマルたちの馬車に近づくと「怪我をした男を見なかったか?」と聞いてくる。




イングマルは「知らない。」と言うと、彼らは黙って馬車を調べ始めた。



商品のカゴを編む者と、山のようなカゴが積んであるだけでけが人は見当たらない。




武装した男たちは、1台ずつ荷台を調べ怪我人がいないことがわかると、走り去っていった。




怪我をした男は彼女たちの機転で商品のカゴの中に入れられ、中段の棚の中に収められていた。






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