第135話  苦戦3






しっくりこないまま一晩中西の森をはいずり回り、動く人影を見つけると有無を言わさず倒して行く。





夜明け前にみんなのところに戻ると夜明けとともに再び矢の攻撃が始まったが、明らかに矢の数が減っている。




その日も日中は動けず、ずっと矢が降ってきた。






夜になると、再びイングマルは森へ向かう。


その夜から松明を馬車の前に掲げておいた。



馬車の位置を霧の中でも森からわかるようにするためだ。



夕べ入った西の森から入り、北に向かって動く人影を倒して行く。





西の森を一掃するとすぐ馬車に戻り、霧に隠れて動かせる馬車を西の森へ移動させた。



茂みに隠れて馬車を半円形に並べ、草木でカモフラージュした。




全員に待機させてイングマルは1人馬に乗って南の森へ向かって行き、霧が晴れてくるの中、奇襲した。



走り回りながら剣とクロスボーで動く人影を次々と倒して行く。




さんざん暴れ回った後、敵が馬に乗って追いかけてきた。




イングマルは敵を引き連れ、馬車のいる森の中へ入った。





追いすがる敵が射程に入ると、馬車からクロスボウの一斉射撃が始まった。




あっという間に、ほとんど倒されてしまった。



勝機と判断しイングマルは矢を補充すると東の森へ向かって行き、弓兵10数名見つけると、すぐにクロスボーと剣で仕留めた。




他の生き残りは逃げてしまったようで見当たらない。




一晩中かけて森の中を見て回り、誰もいなくなったことを確認するとみんなの前に戻ってきた。



夜が明けると再び馬で森を駆け回り、敵がいないことを確認した。




見張りをのこして、あと片付けをはじめた。



ぬかるみにはまっていた馬車も無事回収できたが、馬車も元いた街道もススキ野原かアシ原のように無数の矢が地面に突き刺さっていて、盾となっていたカゴはほとんど売り物にはならないほどボロボロになっていた。




イングマルは「矢ももったいない」と折れていない矢はすべて回収した。





戦いに勝利したはずなのだが、イングマルもみんなも実感がないようだった。




もし身動きできない状態でバリスタや投石機の攻撃があったらと思うとゾッとした。


そう思うとイングマルには敗北した気分だった。


そのための備えも今後考えなければならない。





街道も森の中も多くの死体が散らばっていた。



死体を1体ずつ回収し、調べてから森に埋葬した。



長い戦いで、さすがにみんなも馬も疲れて憔悴していた。



近くの泉で馬もみんなも水浴びして馬車も綺麗にして、久しくご馳走をみんなで作ってドンチャン騒ぎをし一日中遊んだ。




みんな遊んでいる間、イングマルはほとんど寝ていた。


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