第130話 ナルシシスト4
イングマルとローズは周りを見て回り、動くものを確かめて行った。
全員倒したのを確認すると馬車に集合し、円陣を解除すると馬車を街道に降ろしてきて倒された人買い集団の近くにやってきた。
同じく周りで見物していた人々も、おそるおそる近づいてきた。
人々は人買い集団を撃退したことがわかると「へー!」と感嘆の声が上がった。
イングマルたちは倒した人買いを調べて回り、装備と馬を回収して回った。
死体は街道辻の林に穴を掘って埋葬した。
1日がかりで後片付けをしたが、問題はその後だった。
ダニエルとトムは人買い集団と遭遇したとたん腰をぬかし、さらにロングボウの矢の集中攻撃を受けると泣き喚いて身を縮めてもらして震えていた。
その後は何を言っても恐怖で泣くばかり。
戦闘が終わったのに、パニックは収まらなかった。
ガタガタ震えて身を縮め、商品のカゴに入ってうずくまるばかりだった。
1日たってようやく震えは収まったが、その後何を言っても「もう、おうちに帰る〜。!」と泣くばかりだった。
ホトホト困り果ててイングマルたちはやむを得ず、彼らを家に送り届けるために村に1週間かけて戻る羽目になってしまった。
幼い子供みたいになってしまった2人をキャロルたちが面倒見ていたが、村に到着するころにはようやく正気を取り戻すようになり、普通に戻っていった。
誰も聞いていないが、調子の良い言い訳ばっかりしている。
村の中に入って事情を説明しようかと思ったが気の毒に思い、彼らだけが村に帰っていった。
彼らが村でどう対応するかはなんとなく予想できるが、彼らのこの後の人生は彼らが決めることである。
2人はバツ悪そうに馬に乗って、振り返ることも別れの挨拶もすることもなく村に帰っていった。
彼らが村の中に消えるのを見送ってから、やれやれと再び出発した。
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