第13話  決勝戦2




 




フィリップが距離を詰め間合いに入ったところで突きを繰り出した。




 イングマルはフィリップの左側に入り込んで上段から打ち込もうとしたがフィリップはこれを盾で受けようと構えた。





 しかしイングマルはこの盾をつかんで駆け上がり、ジャンプするとフィリップの上を飛び越え宙返りしながら反動を利用して剣を打ち下ろす。






 フィリップのヘルメットに命中したが、ヘルメット越しなのであまりきいていなかった。





 フィリップは前のめりに転げそうになったが、体制を立て直し構える。





 イングマルはすでに着地して、正眼にかまえていた。






 かなりの衝撃だったようで、フィリップは頭を少し振ってヘルメットの位置を直す。





再びフィリップは盾に身を隠しながら低くかがめ剣を構えて迫ってくる。




じりじりと近づいて突きを繰り出す。






イングマルは先ほどと同じように左の盾をつかもうとしたがフィリップに盾でふりはらわれ、体勢を崩したところに剣が降り注ぐ。





速い連続攻撃にイングマルは大きく距離をとった。


やはり同じ手は通用しなかった。




再び盾を前に突きの構えで近づくフィリップ。




 激しい突きの連続をイングマルはかわし続けるが、かわしたところに剣が横に流れてくる。




イングマルの剣でかろうじて打ち払う、という動作が続いた。





フィリップの左側に素早く移動しても盾を武器にして殴りかかられ体勢を崩したところにまた剣が打ち込まれてしまう。




イングマルが一方的にやられているように客席からは見え、拍手や罵声や声援が大きく響いた。




 再びイングマルがフィリップの左側に回り込む。





 フィリップは盾で振り払おうとしたがイングマルは大きく身を縮めこれをやり過ごすと開いた左脇腹を下段から突き込んだ。





フィリップの左上腕の付け根に命中したがすぐフィリップの剣が応戦する。





イングマルはこれをかわすと体をひねりフィリップの右手を上段から打ちこんだ。




籠手の上からだったがかなり効いたようで、フィリップの顔が苦痛に歪む。




二つの攻撃は手ごたえがあった。




フィリップは再び盾を前にして突きの構えを取るが左腕が痛むのか、今度は振り払うことができない。





イングマルはフィリップの左側に大きく飛び込んでフィリップの左肩を打った。




続けさま身を縮め、下段からもう一度左脇を打ち込んだ。




「ぐうっ!」と言う声を上げフィリップは身をよじりふらついて倒れそうになったがそのまま剣を杖にしてなんとか踏みとどまった。





両者とも息が上がっていたが、フィリップの方が息苦しそうだった。




フィリップは左腕が動かせないようなのでイングマルはフィリップの右側に入り、これまでにない激しい連打をあびせる。




フィリップが片手で受け続けるがやがて右手の腕や肩、小手を何度も打たれ剣を落としてしまった。




急いで拾い上げ再び構え直す。




フィリップはもう一度突きを出すがすべていなされ、下段から腕を跳ね上げられてしまいその間に右腿を激しく打たれてしまった。




フィリップは片膝を付き、身をかがめて苦しんでいた。




イングマルはそれを冷静に眺め、まだ続けるかどうか観察した。




フィリップはよろよろと立ち上がり、フラフラしながら再び盾を前に突きの構えを取る。




再び突きを繰り出すがイングマルにかわされ左側に回り込まれて盾を下段から跳ねあげられてイングマルの剣が顎に打ち込まれた。





フィリップは後に大きく飛ばされ、倒れてしまったがすぐに立ち上がった。




ヘルメットをとめている頬当てに命中したので無事だった。




フィリップは諦めようとせず、よろよろと立ち上がるが立つのも辛そうだった。




完全に盾に身を隠し防御の構えを取るがほとんど動けずにいる。




イングマルは右に左に素早く回り込んで上段下段から肩や腕を連打する。






フィリップはほとんど何もできず時々ふり払う、という事しかできなかった。




イングマルが盾を打ち上げ、顔面に突きがうち込まれた。






鈍い音がしてイングマルが剣を引っ込めるとフィリップの歯がボロボロと落ちた。





フィリップの体は2、3回前後に揺れたがそのまま仰向けに倒れてしまった。






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