便器にはまって絶命した俺が、✕✕✕の量で最強にも最弱にもなれるチート能力を引っ提げ異世界に転生!-最弱のときは女騎士に守られて、最強のときは村娘を守るー
第2話 きよし、たけのこを生やす能力以下で絶望する
第2話 きよし、たけのこを生やす能力以下で絶望する
のあああああああああああああああああああああああああ!
ドン!
めっちゃ柔らかい地面に落ちた。白くてぷにぷにのマシュマロみたいだ。
周りを見渡すと、このマシュマロみたいなでっかい置物以外は、中世のヨーロッパ風な雰囲気の街並みである。レンガ造りの建物、果物を山ほど積み上げた露店、行き交う金髪やら猫耳やらの多種族、俺は本当に異世界に落とされてしまったらしい。
てか、やらかしたなー。爺に能力聞き忘れたよ。こういうのって定番は最強能力なんだと思うけど、じじいはウンコに関する能力しか授けられないとか言ってたしなあ。
俺が座ったままキョロキョロしていると、めっちゃスタイルのいいバニーガール風の茶髪ねーちゃんに話しかけられた。
「あなた様、もしかして異世界からいらした神様の知り合いの方ですかー?」
そいつは俺の顔をじろじろとのぞき込む。俺の目の前にでっかいたわわがゆらゆら揺れる。
うひょひょ、異世界さいこー!
「まあね。俺っちってば、神様の知り合い。チート能力転生者だってばよ。夜露死苦」
決め顔で言う。これは惚れたな。うっひょひょ異世界ハーレム、えちえち物語! 開幕!w
「じゃあちらの登録所で異世界人登録していただきますね。こちらへ」
「え?」
俺に決め顔は華麗にスルーされて酒場風の建物まで案内される。
「それではこの列に並んであちらの受付で登録の方お済ませになるように。よろしくお願いしますね」
そう説明するだけ説明して、綺麗なお姉さんは行ってしまう。
建物の中には30人ほどの人がいて、15人くらいが俺の前に並んでいた。他の奴らはテーブルに座ってくっちゃべったり、バーで酒を飲んでたりする。また、受付の左側には大きな掲示板があり、なにやらクエストの発注書か何かが貼ってあるようだ。
もしかしたら、この建物はいわゆる異世界ものでよくある冒険ギルドの機能もあるのだろうな。俺はそう思った。
すると、僕は目の前に並んでいるパンダっぽい獣人に話しかけられた。
「おめえも転生者クマか? 何の神様のツテで転生したクマ?」
「おめえも? ってことは、お前はそうなんだな。何か聞くときは自分から名乗ったらどうだ?」
うんこの神の知り合いとか言ったら絶対馬鹿にされるしいいたくねえからな。
「お、それは確かにそうクマね。おいらの名前は、パンパンだくま。パンパンダじゃなくてパンパンだクマ」
「ややこしいなオイ」
「よく言われるクマ」
「まあ、俺も名乗っとくか。俺は御手洗清、よろしくなパンパン」
「よろしくクマ。ところで清は何の神様の知り合いクマ?」
くそっ、こいつ嫌なところを!
「おめえ俺のこと馬鹿にしないって約束できるか?」
「パンダ熊族は約束を破らないクマ。それに、しょーもない神の知り合いいっぱいいるクマ。さっきおいらを連れてきてくれたバニーのお姉さんが言ってたけど、バナナの皮の神様が100人も知り合いを転生させたとかで大変だったらしいクマ」
「……」
あれもしかして俺みたいに転生した奴ってめっちゃいっぱいいる系? 最強ハーレム計画台無し系?
「ううう……」
「どうしたクマ!? いきなり泣くなんてもしかして、清もバナナの皮の神様の知り合いだったクマ? それだったらごめんクマ。悪気はないクマ。」
「いや、パンパンよ。おれの知り合いはそんなしょうもない神じゃない。ちょっと耳かせや」
「んーー?」
「ヒソヒソ……俺の知り合いは……う・ん・この神様だ」
パンパンがびくりと飛び上がる。
「すごいクマ! 一級神クマ!」
パンパンがいきなりでかい声で叫ぶ。
「おいいきなり耳元で大声出すなアホ!」
しかしその内容を聞いたバーの連中や列の連中がざわめきだす。
「あの男が……一級神の……?」
「一級神はめったに転生願書を出さないことで有名だが……」
へ……? もしかしてーの。もしかして? おれのじいちゃんめっちゃすごい神だった系?
ウンコDe異世界チーレム来ちゃった系? やっべおれツエーしてえ。エルフの姉ちゃんちゅっちゅしてえ!あーむらむらしてきた。やば、きよしこしこの夜だこれ。キタコレ。
「しかし凄いクマね。どうやって知り合ったクマ?」
「いや、おれのじいちゃん」
「すごいクマ! かかかかか、神の孫クマ!」
またパンパンがでかい声を出す。
「一級神の孫……だと……」
「一体どんな凄まじい能力を……」
「くーー、俺も一級神の孫だったら異世界チーレム生活だったのになあ……」
ぎゅいーーーーーん、俺の鼻が高くなりまくる。
んふんふんふ。俺、神の子。この世界に降臨。んふんふんふ。
さんきゅーじいちゃん、愛してるよちゅっちゅ。俺のためにウンコ臭い世界で過ごしてくれてありがとう! まさにゴッドグランパ!
「おい、パンパンあんまり言いふらさないでくれや。能ある鷹は爪を隠すって言うだろぉ?」
俺今やべえどや顔してるんだろうなあ! でも実際最強だしなあ! ふふ、んふふ。
「ごめんクマー。でもおいら一級神の知り合いの転生者と最初から仲良くなれるなんて光栄クマー。良かったら僕も一緒に冒険につれってってほしいクマ」
「おーおーパンパンよ。お前の同伴を許してやろう。これでお前も栄誉ある冒険パーティーの一員だ喜べ。ところでお前の知り合いの神様っていうのは?」
「おいらを転生させてくれた神様は、タケノコの神様だクマ。おいらはパンダ熊族なのにタケノコばっかり偏食だったくま。そしたら病気になって死んだクマけど、タケノコの神様が不憫に思って転生させてくれたクマ」
「なんかいいのかアホなのか分からん話だな。それでお前の能力は?」
「体力のある限り手からタケノコを出す能力クマ!」
パンパンは俺の目の前に手を出すとフンッとうなった。すると手のひらからモリモリモリとタケノコが生えてきてドスンと地面に落ちた。
「どうクマ? なかなかいい能力クマ? 一生ニート暮らしできるクマよ~。グォッグォッグォ」
前世でお前それで死んだんじゃ、てかお前笑い方怖いよ。と口に出かかったが、本人が満足してるならそれもそれで良い能力なのかもな。
「うーーん。ま、食い物出てくるのは困らねえし、いいかもな。毎食たけのこは勘弁だが」
「さすがに今世は気を付けるクマー」
こんな感じで雑談をしていたら、前のほうの列がはけていってパンパンの順番になった。
「はい次の方ー」
受付のお姉さんがパンパンを呼ぶ。
「はい、お名前とお知り合いの神様の名前と、判明していたら能力の概要をこの欄に記入お願いします」
「はいクマー」
パンパンは大きい手で器用に空欄を埋めていく。クマみたいな手でペンを良く握れるなあオイ。
「そしたら最後に、このオーブに触っていただけますか」
パンパンはオーブに右手をかざす。するとオーブがかなり強く青白い光で輝く。
「おおーー。これはA級の能力ですね。パンパンさん、神様にかなり愛されていらっしゃいましたね」
「まあ、なんか申し訳なく思ってたっぽいクマからねー」
「しかも食物生産系の能力は大概どちらでも重宝されますから、仕事には困らないでしょうね!ということで、総合的に判断して金等級の冒険者腕輪を差し上げます。これをつけていれば他の冒険者ギルドでも戦闘以外であればだいたいどんな仕事でも受けることができますよ」
「ありがとクマー」
パンパンは腕に金色の腕輪をつけて戻ってきた。
「では次の方」
「はい、お名前と……」
「分かってる」
俺は受付嬢の唇を人差し指と中指でとめた。
「できたぜ、ハニー」
そして書類を華麗に書き上げ、嬢ちゃんに差し出す。
氏名:御手洗清、知り合いの神様:うんこの神様、能力:まだ不明
「ほう、確かに一級神のお知り合いのようですね」
受付の嬢ちゃんはなるほどといった顔で俺の顔を観察している。
「そんなに見つめられたら火傷しちゃうぜ、ハニー」
「はい、ではオーブに、言わなくてもいいですよね」
シカトされた! 全力でスルーされた!
ふふ、ふふふ、でも俺には真の力がある、その真の力に打ち震えるがいい!
ぴた
オーブに触る。
もわーん オーブがくすんだウンコ色に鈍く光って消えた。
…………。
受付のお姉さんが言い放つ。
「はい、ゴミですね、級数をつけられないくらいのゴミです。ゴミ級能力です。生きてる価値なしのゴミです! あーあ! こういうの困るんですよねえ! バナナの皮の神様もそうですけど、ゴミ級能力の転生者量産して何したいんでしょうね」
「……」
「しかもあなたの場合、一級神でこれですからよっぽどあなた神様に恨まれてたんでしょうね。あー、うんこの神様ですから、ウンコみたいな人生歩んできてウンコみたいな死に方乙wwwwww ってことで、ふざけて転生させられたんでしょうね」
「うううう……」
じいちゃん、俺涙出てきたよ。
「はい、あなたにお似合いのゴミ級転生者の腕輪です。ゴミはゴミらしく掃きだめで大人しくしてて二度と姿見せないでくださいね。はい次の方ー♪」
「ゴミ級だってよ」
「久々に見たぜ……一級神も面白いやつがいるもんだな……」
「見ろよあの顔、間抜けだなあ!」
くそ、どいつもこいつも俺を……俺を馬鹿にして……
くっ……くそぉぉぉぉおぉ!
一部始終を見ていたパンパンがやってきた。
「だ、大丈夫クマよ。まだ能力が何か決まったわけじゃないクマ。それに、それに、うんこをうむ能力とかなら肥料を作るとか、いろいろ役に立つかもしれないクマ。」
「異世界にきて肥料作りかよ……ううう」
「あと……パンダ熊族は約束を破らないクマ。清が望むなら一緒に冒険するクマ。おいらは金階級だからだいたいの依頼は受けられるクマ。だから元気出すクマ」
ううううううう、なんていいやつなんだこいつ!
「あ、ありがとうクマーー」
感動して語尾がうつっちゃったぜ。
能力が文字通り糞でもこいつとならやっていけるかもしれない、改めてそう思ったのだった。
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