第1102話中臣朝臣宅守、狭野弟上娘子と贈答する歌(17)

君が共 行かましものを 同じこと 後れて居れど 良きこともなし

                         (巻15-3773)

※君が共:きみがとも。貴方と一緒に


我が背子が 帰り来まさむ 時のため 命残さむ 忘れたまふな

                         (巻15-3774)


(こんなに苦しむものなら)貴方と一緒に配所に行けば良かったと思うのです。

苦しみは、何も変わらないのですから。ここに取り残されていても、何も良いことはありません。


私の愛しい貴方が、お帰りになるだろう時のために、命を残しておきましょう、(決して死にはしません)そのことを貴方も決して忘れないでください。


狭野弟上娘子の歌。

この二首も、狭野弟上娘子の心をそのまま詠んだ歌で、実にわかりやすい。


※尚、当時の流人は、妻を伴って流罪の場所に行くことも許されていた。

しかし、狭野弟上娘子は東宮(皇太子)の蔵の管理をする現職官僚。

そのため、同行が許されなかったのかもしれない。




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