第1050話安芸の国の長門島に磯辺に船泊りして作りし歌五首(2)

山川の 清き川瀬に 遊べども 奈良の都は 忘れかねつも

                   (巻15-3518)

山の中の清らかな川瀬で、宴会を開いて遊んでいますが、奈良の都は忘れようがないのです。


磯の間ゆ たぎつ山川 絶えずあらば またも相見む 秋かたむけて

                   (巻15-3519)


磯の間を激しく流れ落ちる山からの川が絶え間なく流れているならば、また見に来ることとしよう、秋になったならば。

※秋になったならば:遣新羅使が秋には帰って来たいとの願望を含む。


二首とも、名前が記録されない、無名官僚の歌。

実にわかりやすい歌。

ただ、往路の段階で望郷の歌を詠む。

よほど、困難が想定される遣新羅使だったのだと思う。

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