第947話草枕 旅の悲しく あるなへに

草枕 旅の悲しく あるなへに 妹を相見て 後恋ひむかも

                     (巻12-3141)

※草枕:旅に掛かる枕詞。


国遠み 直には逢はず 夢にだに 我れに見えこそ 逢はむ日までに

                     (巻12-3142)

かく恋ひむ ものと知りせば 我妹子に 言とはましを 今し悔しも

                     (巻11-3143)


旅の寂しさと悲しさのままに、あなたと出逢うことになりました。

おそらく別れた後で、恋しくなることでしょう。


私の故郷は遠いので、直接お逢いすることはできなくなります。

せめて夢だけにでも私に姿を見せて欲しいと思います。

再び巡り逢える、その日まで。


これほど恋しくなるものとわかっていたなら、あの娘ともっと言葉をかわすべきでありました。今となっては悔しくてなりません。




旅路で出会った女性への歌とされている。

この歌の作者は、故郷に恋人がいたかどうかは、不明。

そのため、浮気か本気も、不明。

故郷に恋人がいなかった若者の歌とするほうが、美しく感じる。

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