第795話隠れ沼の 下ゆ恋ふれば すべをなみ

隠れ沼の 下ゆ恋ふれば すべをなみ 妹が名告りつ 忌むべきものを

                          (巻11-2441)

隠れ沼のように密かに恋し続けていたけれど、なんともやるせなくて、彼女の名前を口に出してしまいました。

本当は、忌み慎むべきものなのに。


万葉集の時代、恋人の名を口に出してしまうことは、タブーとされていた。

世間の監視も厳しく、邪魔をされ、破談になる確率も高かったかもしれない。

しかし、想いは強く、つい口に出してしまった。

作者は、その不安を、そのまま詠んでいる。


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