第667話春されば すがるなす野の ほととぎす

春されば すがるなす野の ほととぎす ほとほと妹に 逢わず来にけり

                         (巻10-1979)

※すがるなす野:すがる蜂(じが蜂)。横に白い縞模様。春に生まれ、夏にかけて、ブンブンと飛ぶ。

※ほとほと:危うく


春になると、すがる蜂が飛び回る野のホトトギスのように、危うく彼女に逢えないまま、帰って来てしまうことでした。


彼女とデートの約束をしていたけれど、すがる蜂やらホトトギス(実は口やかましい、噂好きな邪魔な人たち)がいて、危うく逢うことすら難しかった。

それでも、逢えたのだから良し、そんな実感がこもる歌。


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