第649話ますらをの 出で立ち向かふ 故郷の
鳥を詠みき
ますらをの 出で立ち向かふ 故郷の 神奈備山に
明け来れば 柘(つみ)のさ枝に 夕されば 小松が末に
里人の 聞き恋ふるまで 山彦の 相とよむまで
ほととぎす 妻恋すらし さ夜中に鳴く
(巻10-1937)
※神奈備山:明日香の雷丘説、橘寺南東のミハ山説あり。
※柘(つみ)のさ枝:桑の一首。落葉高木。
反歌
旅にして 妻恋すらし ほととぎす 神奈備山に さ夜ふけて鳴く
(巻10-1938)
男が藤原京の家を出て向かった、古都明日香の神奈備山では、明け方になると柘の枝の上で、夕方になると松の梢の上で、里の人が聞き惚れるほど、山彦が響き渡るほどに、ホトトギスは妻を恋しがり鳴き、そして、真夜中にも鳴くのです。
旅先であっても、妻を求めるのでしょう。ホトトギスはこの真夜中にも、しきりに鳴き続けるのです。
男(おそらく官人)は、藤原京から明日香の故郷に戻っているらしい。
目的は、聖なる山の祭りのため。
妻を求め鳴く鳥は、子孫繁栄を約束する瑞祥。
その鳴き声が神のやどる山で、始終響き渡るのだから、実におめでたい。
鳥の鳴き声を使った神奈備山への賛歌とも言える。
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