第545話大伴坂上郎女の、竹田の庄にして作りし歌二首
然とあらぬ 五百代小田を 刈り乱り 田廬に居れば 都し思ほゆ
(巻8-1592)
こもりくの 泊瀬の山は 色づきぬ しぐれの雨は 降りにけらしも
(巻8-1593)
右は、天平十一年己卯の秋九月に作りしものなり。
※竹田の庄:耳成山東北の地。現奈良県橿原市東竹田町付近の大伴氏の領地。
たいした広さでもない五百代の小さな田を、懸命に刈り続けているけれど、いつまでも田舎の仮小屋暮らしを続けるのでしょうか、もう都の生活が偲ばれてなりません。
※五百代:一町。(約1ヘクタール)
泊瀬の山は、見事に色づいてきました。しぐれの雨が降ったようです。
大伴家の農事に従い、竹田の庄にいた時の作。
これも旅の歌の伝統的なスタイルを取り、一首目で望郷の念を詠み、二首目で土地褒めをする。
特に二首目は、秋の叙景歌として、とても素晴らしい風雅を感じさせる。
さすが坂上郎女といったところだろうか。
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