第440話雷に寄せき

天雲に 近く光りて 鳴る神の 見れば恐し 見ねば悲しも

                     (巻7-1369)

天雲の近くで光輝いて鳴る雷は、見ると恐ろしく、見なければ悲しいのです。


相当な高位の男性と関係を持った女性の歌。

男性は帝で、女性は身分の低い女官とも想定できる。

普通なら、身分差があり過ぎて、目も合わせられないような男性。

しかし、逢瀬の思い出は、心身に残る。

一時の気まぐれだったのか、直接に尋ねられる身分でもなく、想いは複雑のまま、ただ訪れをまつばかり。

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