第419話雲隠る 小島の神の 畏けば

雲隠る 小島の神の 畏けば 目こそば隔て 心隔てや

                    (巻7-1310)


雲の中に隠れている小島の神が恐ろしいので、お逢いすることは隔たっておりますが、貴方を思う心は隔たっておりません。



おそらく男の立場で詠んだ歌。

高い場所にある雲の中に隠れている神なので、おそらく自分よりは身分が高い娘の親の監視を表現しているのだと思う。

その監視が厳しく逢いに行っても、けんもほろろに追い返されてしまう。

そんなことが積み重なり、直接の逢瀬も途絶えてしまった。

しかし、私はまだ、貴方を諦めてはおりません。


女の立場になると、うるさい親の監視を理由に逢えないけれど、心は離れてはいませんとなる。



難しいのは、男にしろ女にしろ、どこまで本音で詠んでいるのかということ。

別に思う人が出来てしまって、親の監視を「理由に」関係を一旦断つ。

しかし、万が一の失恋の不安もあるので、「心は離れていない」と保険をかける歌とも考えられる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る