第406話こもりくの 泊瀬の山に

物に寄せて思ひを発しき


こもりくの 泊瀬の山に 照る月は 満ち欠けすれそ 人の常なき

                        (巻7-1270)

こもりくの:泊瀬の山にかかる枕詞。

泊瀬の山:古代大和地方の葬送地。そのため霊魂のこもる聖地とされた。


泊瀬の山に照る月が満ち欠けするように、人も変わらずにはいられない。


泊瀬山は葬送地、それ故か古代から霊魂のこもる地とされていた。

その泊瀬山の上から下界を照らす月でさえ、満ち欠けがある。

ましてや人間である自分などは、その影響を受けるのが当たり前。


月を思い人に例えれば、その人が何等かの理由で見えたり、見えなかったりするのも当たり前。

男を待つ女の歌とも取れなくはない。


      

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