第374話羇旅にして作りき(9)

足柄の 箱根飛び越え 行く鶴の ともしき見れば 大和し思ほゆ

                        (巻7-1175)


足柄から箱根の山を飛び越えて行く鶴のうらやましい姿を見ると、故郷の大和を偲んでしまうのです。


※古代の東海道は箱根山北方の足柄越えだった。(箱根路が東海道になったのは鎌倉時代)


故郷大和で待つ妻や子供を思い出したのだろうか。

自由に大空を飛び回り、どこにでも行ける鶴をうらやましく感じている。

出来ることなら、自分も鶴となって、大和に帰りたい。

足柄から箱根の深く暗い山を歩く辛さも、こんな望郷の念をかきたてたのかもしれない。


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