第361話摂津にして作りき(4)

大伴の 御津の浜辺を うちさらし 寄せ来る波の 行くへ知らずも

                        (巻7-1151)

※大伴の御津:大伴は大阪から堺にかけての総称。大伴氏の領地。

大伴の御津の浜辺を洗い去るように打ち寄せて来る波は、どこに向かうのか、全く行方がわかりません。



梶の音ぞ ほのかにすなる 海人娘子 沖つ藻刈りに 舟出すらしも

                       (巻7-1152)

櫓の音が、ほのかに聞こえてきます。海人娘子が沖の藻を刈るために、舟を漕ぎ出しているようです。



いずれも旅先で見た珍しい景色に感じたものを、素直に詠んでいる。

ある程度、海岸から離れた位置で詠んだものだろうか。

「行くへ知らずも」の波の上を、海人娘子は健気に櫓を漕いで沖の藻を刈りに船出していく、その櫓の音が「ほのかに」聞こえて来ると詠む。



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