第220話春日野に 朝居る雲の しくしくに

大伴宿祢像見かたみ


春日野に 朝居る雲の しくしくに 我は恋ひまさる 月に日に異に

                          (巻4-698)


春日野の朝に浮かんでいる雲が、次々に立つように、私の恋心は月日がたつごとに、より増して強くなるのです。


※春日野:奈良春日山の周辺の野。

※しくしくに:しきりに。次々に。


恋心は、春日野の空に浮かんでいる雲のように、次々に浮かんで来る。

それも、毎日が積み重なって毎月に、そして、どんどん、増してくる。


女性の立場で詠んだ歌という説、春日野で宴席を開いて即興で詠んだとの説もある。

女性の立場説になれば、逢瀬を待ち続ける思い。

春日野宴席説となると、あちこちの女性に次々に恋心を浮かべる遊び好きの男。


なかなか断定できないけれど、面白いのは春日野宴席説と思う。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る