第210話中臣女郎 大伴宿祢家持に贈りし歌(2)

海の底 奥を深めて 我が思へる 君には逢はむ 年は経ねとも

                        (巻4-676)


誰にも気づかれないように、恋心を海の底の奥深く沈め、慕い続ける貴方。

どれだけ時間がかかっても、貴方にはいつかお逢いしたいと思っています。



自分の心の奥底深くに秘めた恋、逢えない時間の長さは、逢えた時の、この上ない幸せによって消されてしまう。

誰にも言えないから、逢いたくても逢えないからこそ、想いはふくらむ。


覚悟なのか祈りなのか、心をとらえる歌と思う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る