第202話安倍虫麻呂と坂上郎女
安倍朝臣虫麻呂の歌一首
向かひ居て 見れども飽かぬ 我妹子に 立ち離れ行かむ たづき知らずも
(巻4-665)
大伴坂上郎女の歌二首
相見ぬは 幾久さにも あらなくに ここだく我は 恋ひつつもあるか
(巻4-666)
恋ひ恋ひて 逢ひたるものを 月しあれば 夜はこもるらしは あり待ちて
(巻4-667)
安倍朝臣虫麻呂の歌一首
向かい合いってずっと見ていても飽きない貴方と、どうしたら離れていけるのでしょうか。
大伴坂上郎女の歌二首
逢えない時間はそれほど長くないのに、本当に私は貴方を恋しく思っています。
ずっと恋し続けて、ようやく逢えたのに、空には月も浮かんでおりますし、もうしばらくここにいて欲しいのです。
安倍虫麻呂と坂上郎女の母は、同じ家に住んでいた仲の良い姉妹。
従って、安倍虫麻呂と坂上郎女は、いとこ。
幼いころから仲が良かったらしい。
歌の恋を恋愛と理解する必要はなく、戯れのような言葉。
安倍虫麻呂が、「名残惜しいけれど帰ります」と帰ろうとすると、坂上郎女は、「つまらない、せっかく来たのだからもう少し」と押しとどめる。
あるいは安倍虫麻呂が、いとこではない恋人のところに向かうことを見抜き、戯れに邪魔をしたのではないだろうか。
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