第200話佐保渡り 我家の上に

安都宿祢年足あとのすくねとしたりの歌一首


佐保渡り 我家の上に 鳴く鳥の 声なつかしき 愛しき妻の児

                        (巻4-663)


佐保川を渡り、我が家の上で鳴く鳥にように、その声が懐かしいわが愛しき若い妻。


安都宿祢年足あとのすくねとしたりは未詳の人物。

平城京の佐保川の付近に家があったと思われる。

妻の児という表現は、子供のように若々しい妻という意味と理解できる。

となると、新婚の時期なのかもしれない。


とにかく妻が好きで仕方が無い。

美しい鳥の声のように、妻の声も美しい。

それを思いだして、帰宅後の愛の交歓を思い、仕事に励んだのだろうか。


自然な甘さに満ちた、妻恋の歌と思う。


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