第193話大伴坂上郎女 玉守に
玉守に 玉は授けて かつがつも 枕とわれは いざ二人寝む
(巻4-652)
玉守りに、玉は授けてしまって、とにかく、私は枕と二人寝をするといたしましょう。
この歌の「玉」は二人の娘、大嬢と二嬢。
大嬢は大伴家持に、二嬢は大伴駿河麻呂に嫁がせたので、その玉守は、それぞれの夫となる。
母親としては、娘を嫁がせた安心感があるけれど、日常生活からいなくなった喪失感もあるのだと思う。
「かつがつ」は珍しい言葉で、「とにかく」の意味、少々の不安がこめられているのかもしれない。
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