第175話山口女王 物思ふと人に見えじと

物思ふと 人に見えじと なまじひに 常に思へり ありそかねつる

                         (巻4-613)


物思いを他人には知られないようにと、心を偽って無理に平気な顔をしています。

でも、いてもたってもいられないほどなのです。


山口女王(伝未詳)が、大伴家持に贈った歌五首の冒頭。

なまじひは、できもしないのに無理をして、の意味。


他人には知られたくない恋心があり、隠し通さなければならない苦しさ。

秘めなければならない恋心は、やはり苦しい。

せめて、歌のみに、その心を託すことになる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る