第6話 職員室
放課後の職員室は異様な雰囲気に包まれていた。
担任の先生だけではない、たくさんの先生方の前で、昨日の興奮そのままに5人がクイズバトルへの参加を訴え、それに対して先生方も興奮しながら、どうやってお金を集めよう?、どんな問題が出されるのかな?、対策しないと、まずはPTA総会を開こう!と盛り上がっている。
それは凄い熱気で、どの先生の口からも「でも」とか「だって」とか「どうせ」だとか否定的な言葉は出なかった。
それはミノリにとって不思議なことだった。
だいたいこういう話になると先生を含めて大人たちは「でも」「だって」「どうせ」出来ないとか、無理だとか言うのを何度も聞いてきたし、ミノリもどこかでそう思っていたからだ。
誰かがミノリの肩をポンっと叩いた。
振り返ると校長先生が笑顔で、ここの先生たちに驚いたんでしょう?と言った。
図星だ。
校長先生は続けて言った。
「先生達はね、希望の島中学校に赴任してから、こうなったの、何でも楽しみながら、前向きに取り組めるように変わったのよ。」
何でだと思う?、そう校長先生はミノリに問てからミノリを指差した。
「この学校の生徒達の一生懸命さに、変えてもらったのよ」
「私はね、この学校の生徒達が、将来この国をも変えるんだって、救うんだって本気で思っているのよ」
そう言ってウインクすると大きな声で、さぁ!希望の島中学校の生徒が、この国をひっくり返すよ!、みんな準備に取り掛かりなさい!、そう言ってその場を締めた。
その数日後にPTA総会は開かれ、後援会を作ること、放課後の先生たちによる特訓をやることが決まり、5人の家族の協力も得られることとなった。
そして一番大きな課題である参加料については、クラウドファンディングを立ち上げることとなった。
お金の問題だけは言ってみれば人任せであり、結果はどうなるか分からなかった。
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