第十二話 ドアの先に待つ者

 ドアの先にいたのは一人ではなかった。

 というか詳しく言うと人だけではなかった。


「な、なんじゃこりゃ⁉」


 私は中を見るなり悲鳴を上げると慌ててばたんと大きな音を立てながらドアを閉めた。


「なんですかあれっ」

「あ、言ってなかったっけ。そらっちの知り合いがほかにもいるんだよ。もう一回開けてごらん、怖くないから。多分」


 先ほど開けたときは私が最も嫌いな生物と恐ろしい獣が居座っていた。

 この組織はいったい何なんだと思ったが冷静に考えるとこれも超能力者の能力だろう。

 とりあえず河野先生に言われた通りもう一度ドアを開いてみた。

 知り合いというのが微妙に引っかかる。


「なんでさっきドア閉めたんだよ」


 そこには笑っている船田先生ともう二人、人の姿があった。

 今度は人の形をしていたので安心する。


「ドアを開けて大蛇と二本足で立ってるオオカミがいたらみんな驚きますよ。ですよね、河野先生」

「まぁ初めての奴はな」


 先ほどドアを開けたその先にいたのは船田先生と、大きなとぐろを巻き毒々しい色をしている大蛇と、二本足で人間のような動きをしていた奇妙な狼だった。

 今目の前にいる人もある意味獣より怖い人だがまだ言葉が通じるだけましだ。


「なんで杉田先生と星川先生がいるんですか」

「まあいろいろと訳があるわけだよ、龍天時さん」


 獣より私が恐れている二人がなぜここにいるのだろうか。

 戦う気が一気に失せてしまった。


 なんて私はついてない王様なんでしょうか。

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