妹には話せない俺の腐った青春
飛鳥 未知琉
第1話 「異日常」
「ただいま〜」
「お兄ちゃん、おかえりっ」
妹・
いつも通りの毎日だ。
「お兄ちゃん、今日は学校でなにかあった?」
お決まりの質問である。
因みに、俺・
「なにかって……、唯も俺と一緒の学校じゃないか」
ここの返答もテンプレである。
まあ、実際は何もない訳でもないのだが。
というか、俺が今の異常な日常に慣れてしまってるが故の返答なのかもしれないが。
なにが異常かっていうと、その、まあ、ね……?
とりあえず、ちょっとだけ俺の日常をかえりみてみるとしよう。
「お兄ちゃん、起きる時間だよ〜!」
「わかってるよ〜……、もうちょっとだけ寝させてぇ……」
「まったく〜、お兄ちゃんはどうしようもないんだからぁ……」
そんなこんなしてるうちに俺は目覚めるのだ。
そして、朝飯は祖母が作ってくれる超スーパー旨い、麺と酢を混ぜた、通称「酢ーメン」
なるものを食って学校に行く。
まちがっても、メントスとかいう準爆発物みたいなものを朝から食うわけではない。
さて、いろいろ端折ったが、ここまではまあごく普通の……いや、ちょっと変な物は食ってるが、まあ普通の日常だ。
全世界の人間が俺に惚れてるのと同じぐらい普通のことだ。
それで……問題のシーンはここからなんだよな。
「ふ〜、なんとか学校間に合った〜」
「永田、もう少し余裕を持って登校しろ」
生徒指導の宮崎先生だ。やはり怒らせたくはない。
「すいません、今度から気つけます!」
これが日常っていうのは流石に自分でもちょっとアレだなって思うが……。
そうして校門を突破した先にはやはり奴がいる。
「おはようございます、淮殿」
はい、出た。自称「永田 淮の彼氏」こと
こいつのせいで俺の日常は異常と化している。
もうこれは日常というより異日常かもなw
おっと、あの変人のことを考えたらキモすぎて無性に笑い転げてしまった。
それにしても肥田のやつ、勝手に俺の彼氏とか言って楽しむ分には構わんが(まあキモイけど)、二ヶ月ほど前、「僕こそが淮殿の彼氏、肥田 正樹でござる!」など訳の分からないことを放送室のマイクで言いふらしやがったのである。
おかげで、俺の高校生活は一日にして華のない(むしろ、ゴミみたいな)物へと早変わりしてしまったのである。
幸い、あの放送の時、妹は部活の大会(?)か何かで公欠を取っていたので助かった。
聞かれてたら終わってた。確実に。
そういえば妹は、俺も実態はよく分からないのだが、「動画編集部」なるものに入っているようだ。
大会ってどんな大会だったんだろう……?
おっと、話がそれてしまった。
肥田の話だ。────いや、あのまま話戻さない方が良かったか?
俺と肥田の出会いは今年の四月。
ちょうど約半年ほど前だろうか。
うちの学校は全校生徒は少なく、教員がやたら多い佐々井高校という高校なのだが、クラスが一学年に二つしかない。実質、科目選択の時点で二年以降のクラスは完全に確定するレベルだ。
因みに、男女比は 2:8 ぐらいである。
こんなのほとんどの男子が彼女持ちになれるだろw
そう思っていた自分がバカバカしい。
結局、俺は肥田のせいで全ての女子から危険視されてしまっている。動画編集部以外の全ての女子から。
いやまて、よく考えたら男子にも避けられてるやんけw
「くっそー!なんで俺がこんな目にあわなきゃいけないんだよぉ!」
あ、しまった。声が勝手に。
「お兄ちゃん、なに一人で叫んでるの?w」
「いや、なんでもない!なんでもない!」
「お兄ちゃん、変なの〜」
「ははは……。(危ねぇ……俺まで変人になっちまうとこだった)」
「おばあちゃんがご飯できたって!食べに行こ!」
「そうだな!」
本当、妹にまで避けられたら俺の人生完全に終わってたな。
このことは妹には絶対にバレないようにしないといけない。こんなに大きな秘密を抱えて生きるなんて、これからのことが思いやられるなぁ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます