第5話
第二学区高校。
奥野武志が教室の扉を開けると、
カチャ、カチャ、チャキ、チャキ、ガチャリ、チャ、チャ、チャと、教室に居た生徒たちの銃口が彼に向けられた。
「すみません」
両手を上げて奥野武志が言った。
「すみません。ちょっと事件がありまして」
奥野武志の後ろからメガネが言う。
「席につきなさい。奥野、加藤、田中、三田尻、小池、遅刻遅刻遅刻遅刻遅刻」
先生が出席簿を直している間に生徒たちが構えた拳銃がカチャリ、カチャリと下ろされていく。
学校の中では殺し合いは起こらない。
仲間は殺さない。
イジメは無い。
イジメられっ子にイジメっ子が殺されるのがおちだ。
頭が悪いヤツは幼少時にすでに殺されていなくなっている。
「ねえ、ビビった?」
奥野武志が席につくと、隣の席の美紀がニヤリと笑って奥野武志に言った。
「いいや、お前らが俺を殺す事はないし」
美樹の長い黒髪が輝いている。
奥野武志は美紀を一目見てから黒板に目を向けた。
奥野武志と美紀は愛し合っており、恋人同士だ。
人は集団に属していると殺される確立が減るものだ。
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