　奥野一家が家に帰る電車の中。

　パンと銃声が鳴った。　

　頭を撃ち抜かれた男が床に倒れている。

「あ、この人が私にチカンしたんです」

　女が周りの人々にアピールしている。

　すかさず、

　パンパンパン。

　痴漢を撃った女が多方向から拳銃で撃たれて床に倒れた。

　本当にチカンだったのか？

　殺し屋じゃないのかこの女。

　人々はそう思った。

　人は疑われると殺される。

　それにしても、刀の時代だったらと奥野家父は思う。

　この痴漢もすぐに死ぬことはなかっただろう。

　恐ろしい時代になったものだ。

　奥野家の人々は家に帰ると早速買ってきた拳銃の取扱説明書を読んだ。

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