殺人無罪の国
朝野風
第1話
無罪とは罪が無いこと。
ここはとある百貨店の拳銃売り場。
拳銃のはいったショウケースがあり、ケースの中にはやはり拳銃。
そこの店員のお姉さんが売り場に入ってきた男に声をかけた。
「いらっしゃいませー」
男は暗い顔をしてうつむいている。
そして小さな声で
「拳銃、ください」
と言った。
「あの?どの様な物をお探しですか?」
拳銃は二万円ほどで買える。
拳銃の弾は一発三十円ほど。
店員のお姉さんは笑顔を崩さずに聞いた。
男はうつむいてブツブツと話し出す。
「皆殺し、俺のことを嫌っている奴を皆殺しにするから」
パン!
店員のお姉さんがホルスターから素早く抜いた小型の拳銃が火を吹いた。
頭から血が出て後ろに倒れる男。
この男が拳銃を所持することは許されなかった。
ピンポンパンポーン。
「本日はご来店まことにありがとうございます。迷子のお知らせです」
普通にそんなアナウンスが聞こえてくる。
清掃員が二人来て倒れた男を運び出した。
その後に別の清掃員が来て、モップを使って床に広がった血を掃除した。
殺人を犯しても罪にならない法律。
火に油を注ぐだけだと世間で言われた拳銃所持の合法化。
変質者が大量殺戮を行い、世間は変質者を殺す。
喧嘩で殺しあう。敗者側からの報復。
迷惑な者は殺される。
危険な奴は殺される。
弱い者も殺される。
強い者も殺される。
流れ弾で殺される。
さて、この様な世界で生き残りたかったら、どうするべきなのか。
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