ハイチュー馬超2   

馬超ばちょう韓遂かんすいのやりとりについては、

山陽公載記さんようこうさいきにも記録があるっす。


曹操そうそう、攻めてきた馬超ばちょうを迎撃しようと

蒲阪ほはんってところにまで進軍してました。


ところで黄河こうが、西から東に

流れるイメージが強いと思うんすよ。

けど実は上流のほう、具体的に言うと

長安ちょうあんの手前辺りから、

南北に流路が切り替わってます。


蒲阪は黄河河畔のエリア。

ちょうど黄河が北から流れてきて、

東向きに流路を変える辺りっす。

この辺から黄河を渡ろうとすると、

「西に渡る」ことになるっす。


なので、馬超と韓遂は黄河西岸に布陣。

エリアの名前は渭北いほく

ここで馬超、韓遂に提案したっす。


「やつに渡河を許さないようにしよう。

 そうすれば二十日と持たずして、

 補給が途絶えることだろう。

 そうなってしまえば、

 やつも引き返さざるを得まい」


すると韓遂が答えたっす。


「いやいや、渡らせてやれ!

 奴らが黄河の流れにはまって

 もがくのを見るのは、

 なんとも愉快じゃないか!」


結局馬超の策は採用されなかったっすが、

馬超軍をボコボコにしたあと、曹操、

却下されたその献策を聞き、

ビビったみたいっす。


きっと、ドンピシャだったんでしょうね。


こう叫ぶ、曹操の言葉が残されてるっす。


「あの子馬ぶっ潰しとかなきゃ、

 俺もおちおち死んじゃらんねえよ!」




山陽公載記曰:初,曹公軍在蒲阪,欲西渡,超謂韓遂曰:「宜於渭北拒之,不過二十日,河東穀盡,彼必走矣。」遂曰:「可聽令渡,蹙於河中,顧不快耶!」超計不得施。曹公聞之曰:「馬兒不死,吾無葬地也。」


山陽公載記は曰く:初にして、曹公が軍の蒲阪に在れるに、西に渡らんと欲せば、超は韓遂に謂いて曰く:「宜しく渭北にて之を拒みたるべし、二十日を過ぎずして、河東が穀の盡きたるれば、彼れは必ずや走りたらん」と。遂は曰く:「聽きて渡らしむらば、河中に蹙まり、顧るだに快ならざるべしや!」と。超が計は施さるるを得ず。曹公は之を聞きて曰く:「馬兒の死なざれば、吾れに葬られたる地無きなり」と。

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