ハイチュー関羽1   

ちょ、陳寿ちんじゅセンセー!

少ねぇ、文字数少なすぎっす!


あまりにも最低限すぎる

情報量だもんだから、うちの主上

(南朝そう三代目皇帝、文帝劉義隆りゅうぎりゅう

が、マジおこっす!

「三国志の情報少なすぎ」って!


だから主上、自分に「お前がフォローしろ」

ってお命じになったっす! つらみ!


ってなわけで自分、裴松之はいしょうし

陳寿センセーの簡にして素な記述に、

自分の時代に残ってた文献を参照して

補足事績を紹介してこうと思うっす。

よろしくっす!


 ○


関羽かんう伝の1と2をつなぐエピソードが、

蜀記しょくき」にあるんで紹介するっす。


曹操そうそう劉備りゅうびと一緒に、下邳かひ

呂布りょふを包囲してたときのことっす。

対呂布戦の最終局面っすね。


呂布、袁術えんじゅつに救援を要請しようと、

秦宜祿しんぎろくってひとを使者に立てました。

この人は無事袁術のもとに到着したんすが、

何故か袁術、秦宜祿に女性をあてがい、

結婚させちゃったっす。


ところで秦宜祿、下邳に奥さんがいました。

つまり奥さん、何がなんだかわからん内に

離縁させられた状態。


ポカーンのきわみっす。


で、この奥さん。

美人でした。めっちゃ。

雲長うんちょうさんマジ惚れ。


ある時曹操を呼び止めて、

雲長さんが言います。


「拙者、秦宜祿の元妻を娶りたく候」


あ、え、うーん、そうなの?

よくわからんけど曹操、許可しました。


その後見事呂布を倒してからも、

雲長さん、ちょくちょく曹操のもとに。

「約束、約束でござるぞ?」


近い、近いよ雲長さん、顔。


さすがにあの関羽がこうもご執心、

ともなれば、あの曹操っす。

気になんないはずもないっす。


なので曹操、先回りして

秦宜祿の奥さんを略取、自らのもとに。

しかもそのまま囲い込んじゃった。


「ファッ!?」


そりゃ雲長さんにしてみりゃ

この野郎、って感じっすよね。


ちなみに「魏氏春秋」にも

おんなじ話が載ってるっすよ。




蜀記曰:曹公與劉備圍呂布於下邳,關羽啟公,布使秦宜祿行求救,乞娶其妻,公許之。臨破,又屢啟於公。公疑其有異色,先遣迎看,因自留之,羽心不自安。此與魏氏春秋所說無異也。


蜀記に曰く:曹公と劉備の呂布を下邳にて圍むるに、關羽は公を啟し、布の秦宜祿をして行きて救いを求ましむるに、其の妻を娶らんことを乞い、公は之を許す。破りたるに臨み、又た屢ば公に啟す。公は其の異なる色を有せるを疑い、先に遣りて迎えて看、因りて自ら之を留め、羽が心は自ら安んぜず。此は魏氏春秋に說きたる所と異なる無きなり。




曹操、劉備、呂布、袁術

三国志界の大物っす。以上!


秦宜祿

内モンゴル自治区あたり出身の人、いわゆる胡族っす。袁術滅亡後、曹操と劉備の間で揺れ動いたっす。張飛ちょうひに「お前の元妻奪ったやつに仕えようってのか?」って言われたから劉備につこうとしたっすけど、それでもくよくよしたっす。そしたら張飛、怒って秦宜祿のこと殺しちゃったっす……えぇ……

ちなみに息子の秦朗しんろうは、魏で結構な権勢を得たとのことっす。けど無双にゃ登場してないっすね。

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