もう負け犬ヒロインなんて言わせないんだからねっ

冴えないオタク

第1話実は二度目です(memorial参照)

英梨々ルートの連載形式ssです。

冴えカノ原作7巻1章部分からスタートになります。



今日は2月中旬の土曜日、世間では男女がキャッキャウフフする日、オタクはソシャゲのガチャやグッズに目が眩む、そんな日の午後10時にあいつは来た。

「ご、ごめんね。こんな夜遅く」

「いや、どうせ明日休みだから起きてるつもりだったし」

まあこんな遅くにうちを訪ねて来れるのは、家の近い英梨々くらいで。

けど、ゲーム合宿の時とは違って、服装は中学指定のジャージなんかじゃなく普通のワンピース、ボサボサだった髪はよそ行き用の金髪ツインテール、そんな英梨々の格好は友達の家に遊びに行くような感じでと言うかデート見たいで。

それは主人公の家に遊びに行くヒロイン<<女の子>>みたいだった。

そんな普通の装いに若干きょどりながらもこえをかける。

「えっと、なんの用で......?」

「な、何よ用がないと来ちゃダメなの?」

なんて少し寂しそうに言われてしまったもんだから強くは言えなくて、優柔不断主人公のようになってしまう。

「い、いや全然いいんだけども」

「えっと、バレンタインデー......」

と恥じらいながら言う幼なじみはなんだかいつもと違っていた。



「別に、学校で渡してくれれば良かったのに」

「学校に持っては行ったんだけど、なんだか恥ずかしくて」

「で、これっハイ」

「お、おうありがとう」

とこんなに感じに女の子をしている英梨々を見るのは初めてで、今までだって部屋で二人きりなんてことはあったのに、会話が続かない。

かと言って名残惜しいのか英梨々は帰る様子もない。

そんな状況を回避すべく、深夜アニメまでギャルゲーをする提案をする。

「あんたって、昔と変わらないわよね、女の子と二人きりで部屋にいるってのにギャルゲーって」

「いや、そんな言うなら帰れよ」

「嘘って、いやー楽しみよね」

「をい」

そんなこんなで初めた訳だが、英梨々は俺のほうに体を預け体を密着させて来る。

とてつもないやりづらさを感じながらではあったが、何回もプレイしたゲームだったせいか、ドンドン進み、ついにキスシーンに差し掛かった。

その瞬間、圧力を感じ俺は押し倒された。

「ねえ、倫也キス、しない......?」

理解が追いつかない。体が、血が沸騰したかのように熱い。

そんな俺の羞恥と困惑を混じり感情を表情から感じたのか、英梨々はポツリ、ポツリ、と話しはじめた。

「別に、キスシーンが来たからとか、そんな理由じゃないの」

「私はずっと前から倫也のことが好きで、でも勇気が出せなくて。私は怖いの、このまま絵が描けなくなっても倫也が私を見てくれる?」

「きっと、倫也どこかに行っちゃう」

「そんな絵が描けなくなるって......」

「そもそも英梨々を見捨てる訳ないだろ!」

「俺はまたこのメンバーでサークル活動がしたくて......」

「だったら、さ。証拠を頂戴」

「えっ」

「私をずっと見てくれるって証拠にキスして」

「今から私は倫也とキスする。」

「嫌なら拒絶して」

何年もの想いびととのキス、そんなのしたいに決まってる。でもこれでいいのか、こんな形でいいのか?そんな考えはすぐ消えることになった。

結局拒絶なんて出来ず、いやせずに英梨々とキスをすることになった。

きっと人生で一番英梨々を感じた瞬間だ。

シャンプーの香り、火照った頬、少し荒くなった息づかい、そして白磁のような金髪。そして、冬にも関わらず柔らかな唇。

長年の恋心が叶ったことによる幸福感は時間の感覚を忘れさせ、一瞬のようで長い口づけが始まり終わった。


「ハアッ、ハアッ。しちゃったね、私達」

「い。いや、キスだけだから!全年齢だから!」

叫んで誤魔化しでもしないと恥ずかしくてどうしようもない、そして親が旅行中で良かった。つか、いつも旅行行ってんな


「ほらっ、深夜アニメの時間じゃない、見よう、ねそうしよう」

「お、おう」

なんだか釈然としない気分にはなったが丁度良かった。



「うわぁ、なにこの設定意味わかんないわね」

「シナリオも大したことないのに、この作画って...」

とまあアニメの酷評なんかしたり、ギャルゲーの続きをしたりした。

ただ、さっきの英梨々の悩みには触れられない自分が不甲斐なくて


「ねえ〜倫也〜キスしようよ〜」

「えっ」

瞬時に怪しさを感じた俺は英梨々が別に持って来てたというチョコを見る。

あっこれあかんやつや、ウイスキーボンボンじゃないって一目見て安心してたのがまずかった。

さっきから何かおかしいと思ってたけど、これかっ

「彼氏ならいいんじゃんーー」

「キスだけで付き合うの?そうなの!」

って違うそうじゃない。

なんとか、英梨々をおさめベッドに寝かせた俺は冷静になると同時に、マズイことにきづく。

もう3時越えで、英梨々は家に帰せないうえに今俺の家にいる。

色々考えた俺は迷惑なのを承知で電話をかけることにした。



告知です

今回、英梨々ルートssを週に一本ペースで連載形式であげることにしました。

これを読んで、興味を持って下さった方は、僕の過去の誕生日ssや、時々冴えカノssのところを覗いて下さると嬉しいです。












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