プロローグ
姉は私にとって憧れ以上の得別な存在だった。
頭もよく、美人で、優しくよく友人から聞かされる年上の兄弟姉妹からのいじめや嫌がらせもほとんど受けたことがなかった。記憶のある限り一切ない。
僕が小学校のとき、家族で四人で鳥取の大山に旅行したことが一番の美しい思い出だ。
姉は中学生。
美しい青空のもと、大山の下生えの緑が広がるなかを、短めのピンクのワンピースを着てその下に短いスパッツを履いた姉は女神のように緑の中を駆けそして輝いていた。
母は敷物を広げ、弁当の用意をし父は、自慢の一眼レフをあやつっていた。
「リク、こっち来てみな、すんごい良い景色が見れるよ」
僕は、そんな大山の景色なんかみたくなかった。ただただ、姉の輝くような長い髪の毛と少し隆起している胸、ワンピースからスラリと伸びた長い手足を永遠に見ていたかった。
あのまま時が止まっていればどんなに良かっただろう。
かなわないことはわかっているが、今でも、真剣にそう思う。
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