さやま(2回目)

youとユートピア

(駄文)はじめに・上

 私は子供の頃、実に平凡な子だったと今では思います。いや、この言い方では少し誤りがあるかもしれません。私は今でも平凡な日常を過ごしています。

 1993年、私は公務員の父とスーパーでパートとして働く母との間に生まれました。次男でした。私が生まれた頃には既に7つ上の兄がいました。この3人の家族は、私の中にある大きな宝物です。

 さて、私のいままでの人生のおさらいがあったとしたらここで終了です。いえ、決して生まれてすぐ絶えてしまったわけではありません。本当に平凡なのです。まるで、誰かが作った物語だったかのように。

 それにしても、自分の中の人に話せるようなイベントが出生だけというのは、少し寂しすぎだったでしょうか。もっとかいつまんで、私について話しましょう。

 先程言った家庭に生まれた私は、特に一大事もなく(両親は、多少ひやっとすることがあったかもしれませんが)子供時代を過ごしました。先が読めてしまいそうなほど平凡にです。夏休みは家族で海に出かけましたし、クリスマスはサンタを見たくて、夜に寝るまで粘ってみましたし、節分は毎年鬼に泣かされました。

 私の平凡な人生はその後も続きます。中高生になった私は、少しずつ女の子に興味を持ち始めました。部活動をある程度に頑張ったり、周りが勧めてくれる音楽を聴いて過ごしました。バレンタインデーには、冴えない男子学生がしがちな淡い期待をして一日中そわそわしていました。今考えると、女子と接点がなく、顔も下の上(もしくは中の下)の私に恵みがあるわけありません。

 それから先、大学も、私は平凡に生き続けました。生活は、中学の頃から特に変わりませんでした。授業が講義に変わったり、部活動がサークルになったりと、カレイがヒラメになった、くらい大した差異のないものです。確かに校則が無くなり、一部自由になりましたが、そもそも中高の校則が、自分のような人間には害のないものが多かったため、ないに等しかったのです。

 そして、現在の私です。私はある大学を卒業したあと、地元の文具メーカーに就きました。決して大きな企業ではないのですが、今は安定した業績を持つ会社です。結婚はしていませんが、前提として付き合っている彼女もいます。

 以上が私のいままでの人生のおさらいです。自分で喋っていても、とても退屈なものでした。決してつまらなかったわけではないが、思い返せば大して面白かったわけでもない。そんなのっぺりしている平たんな人生が私の人生だったのです。


 そう、今のところは。

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