改造少年リヒトとキャルの世界征服物語
村岡真介
怪奇てんとう虫男
キャルはリヒトの右の耳の後ろにあるスイッチを押した。体中の筋肉が太くなっていき、骨が変形しバキバキと音をたてる。全身の皮膚がささくれ立ち黒く変色していく。顔の組織がドロリと落ち、二つの複眼があらわになる……
そこにいたのは、人と昆虫の融合生命体。改造人間であった。
身長は150cmくらいか。同年代の少年からすれば少し小柄だ。リヒトは静かに改造ポッドから地面に降り立った。
「成功だ!ついにやったぞ!」
研究室は歓喜の渦につつまれる。
キャルは美しい金髪をファサリと横になびかせ感慨深げにこれまでの事を思い出す。幾度となくポッドの中に死体と改造したい昆虫を入れて、死体を特殊な薬剤にひたし、遺伝子レベルで結合させる。しかし今までは結合したものの既に死んでいたり、そもそも結合しなかったりの日々を幾日も重ねてきた。その努力が遂に実ったのだ。
目の前にいるのは十五才の少年とてんとう虫が融合した生命体。頭に複眼が二個ついてはいるが顔は前についており、髪の毛も生えている。生前の愛くるしさを
背中には亀の甲羅のような真っ赤な羽に、七つの黒い星がついており一目見ただけでてんとう虫と分かる。
キャルは机の横にあるソファーに体を沈め、しばしぼーっとする。この三日間ほとんど寝てないのだ。するとポッドの方から「ぎゃー!」
と悲鳴が上がっている。
悲鳴の方に行ってみると驚愕した。リヒトが一人の研究員の腕を食いちぎり、もしゃもしゃ食べているではないか!
そうだとキャルは思い出した。てんとう虫は見た目のかわいさに似合わず肉食動物なのである。
「いきなり人を食うな!」
スパーンと頭をぶっ叩く。
すると素直に「はーい!」と元気な返事。
その獰猛さと甲虫の頑丈さをかって、てんとう虫にしたのだが……
シコシコ シコシコ
「脈絡もなくオ○ニーすな!」
ズバンッ! と今度は顔にグーパンチだ。しかし顔も硬い。キャルの手の方が痛くなってしまった。
「まあ、そこに座りな」
キャルは顎で対面するソファーを示した。おとなしく座るリヒト。下半身は未だ○起している。
「私の名前はキャル。あんたに与えられたミッションを説明するからよくお聞き」
「はーい!」
「と、その前に生前の記憶はないのかい?」
「きおくってなに?」
「ダメだこりゃ」
キャルは紅茶を飲んで仕切り直す。
「昔自分がどういう生活をしてて、家族は何人いてとかそういう情報のことだよ」
「忘れた」
「ならいいんだけど、もし思い出したら私に真っ先に知らせるんだよ」
「わかった」
「ミッションの方に話を戻そう。私たちが所属しているのは『クリーンライト』という組織で支部は世界中に展開している。一方、悪の組織『ブラックライト』は、今や世界を席巻し猛威を振るっている。ブラックライトの人間にならないと食料も与えられず餓死してしまうからね、世界中の人々がしかたなしに、ブラックライトに所属してるわけさ」
リヒトは、股間をいじくっている。
「聞いてんのか!」
スパーン!
「そこでだ。ブラックライトが世界征服をする前にわがクリーンライトが世界を取り戻す。お前にはその魁となって欲しいというわけだ。分かる? さ・き・が・け」
「何だかよくわかんないや」
「今はまだ細かいところは分からなくてかまわない。私の指示通りに動いていればいい。分かったかい?」
「はーい!」
「うむ、元気でよろしい。えさ……いや食事は一日一回肉を三kgと栄養ドリンクを与える。間違ってももう人を食うんじゃないぞ」
「分かったー!」
「どうだか。それより腹が減っているんだろう。さっそく肉を与えよう。おい、持ってきな」
研究員の一人が鶏肉の姿焼きを三kg分持ってきた。リヒトは肉塊にかぶりつき、満足そうな笑みを浮かべる。その顔にはまだあどけなさが残っていて、少しショタコンのけがあるキャルも可愛く思う。
「ところでお前は通学中に事故にあったんだったな。学生証から名前は分かっている。
「はーい!」
キャルはお茶うけのクッキーを食べながら今一つ不安である。多少暴走気味の少し頭の弱そうなリヒトを飼い慣らせるかどうかがである。
「私はこれから睡眠を取る。間違っても研究員を襲うんじゃないぞ」
「分かったー!」
キャルはシャワーを浴びベッドに横たわる。三日分の睡眠を取り戻そうとしたところ、部屋のドアが音もせずに開く。背中に人の気配を感じる。間違いない、リヒトだ。
――犯される!
リヒトがベッドの上に上がり、キャルに馬乗りになった。
――まぁいいか興味もあるし
リヒトがキャルの胸に顔を
ガバッ
キャルは目が覚めた。夢だったか――まだ
時計を見ると、20時間も眠っていた。これで睡眠はばっちり取れた。
トイレに行き、顔を洗い、下着をつけるとクリーニングしたてのドクターのスーツに袖を通した。
キャルはこの「改造人間計画」の主任だ。一応実験のためならば何をしてもいいことになっている。
待遇も破格の年棒と広いリビング、キッチンにバストイレつきの部屋が家賃なしで借りられる。まあ食事はほとんどこの基地内にあるレストランで食べるのであるが。
20時間も寝ていると、さすがに腹が減って動けないほどだ。レストランに直行し、カツカレーとサラダを注文する。
カツカレーを待っていると何だか廊下が騒がしい。
――またリヒトか
研究員がニ、三人レストランになだれ込んでくる。それを笑いながらリヒトが追いかけている。
リヒトは犬歯が伸びた獰猛な表情で研究員達を追いかけて遊んでいる。
キャルは研究員の一人を捕まえて
「なんだその体たらくは。耳の後ろのスイッチを押すと変身状態を解除出来るのは知っているだろう」
「それは分かってますがおとなしくさせてくれないんです。どうにかしてくださいドクター」
研究員のすがりつくような目に「仕方がないな」とカツカレーをかきこみ騒動の現場へ直行する。
「あ、キャル!」
それまでの獰猛な表情から途端に天真爛漫な笑顔に戻る。
キャルは右耳の後ろのスイッチを押すとリヒトは人間の姿に戻り、ようやく騒動は収まった。
「あんたも20時間、寝てないで追いかけっこしてたんでしょう?ちょっと睡眠を取りなさいよ」
キャルはリヒト専用の部屋に行き、生体認証で鍵を開ける。さほど広くはないが、一人で寝るには十分だ。
「おやすみなさーい」
「おやすみ」
リヒトは電池が切れたように直ぐに眠りについた。しかし本当に20時間走り回っていたとしたら大したスタミナである。研究員達が怯えるのも
朝がきた。基地の中庭に植えられている桜が春を目指して蕾を膨らませている。
朝10時、キャルはトーストとハムエッグを口にし食後のコーヒーを飲んでいる。そろそろリヒトを起こしに行かなくてはならない。今日から大切な実験が始まるからだ。
スタスタとリヒトの部屋に向かうキャル。するとリヒトの部屋から女の子の悲鳴が!
「キャー!」
キャルが部屋の鍵を開けると、なんとメイドの女の子に馬乗りになり、服の上からおっぱいを揉んでいるリヒトの姿が!
キャルが後ろから頭を蹴りつけると、その衝撃もあったのか
ドピュピュピュ!
と射○して、
「早漏か!」
パシーン!
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